誕生日や記念日、ちょっとしたお礼まで、私たちの生活の様々なシーンを彩ってくれる「花束」。大切な誰かを想って選ぶ時間は、とてもワクワクしますよね。でも、いざお花屋さんに行くと、「どんな花を選べばいいの?」「予算はどれくらい?」「マナーとかあるのかな?」なんて、疑問や不安でいっぱいになることも。せっかく贈るなら、相手に心から喜んでもらいたいものです。
この記事では、特定の商品をおすすめするのではなく、花束を贈る際に知っておきたいお役立ち情報を、これでもかというくらい詰め込みました。花束選びの基本から、知っているとちょっと自慢できる豆知識、もらった後のお手入れ方法まで、この記事を読めば「花束マスター」になれること間違いなし!あなたの大切な想いを、最高の形で届けるお手伝いができれば嬉しいです。さあ、一緒に花束の奥深い世界を覗いてみましょう!
花束を贈る、素敵な瞬間。どんなシーンで活躍する?
花束は、言葉だけでは伝えきれない気持ちを表現してくれる魔法のアイテム。お祝いの気持ち、感謝の気持ち、時にはお悔やみの気持ちまで、様々な感情に寄り添ってくれます。まずは、どんなシーンで花束が活躍するのか、具体的な例を見ていきましょう。
お祝いのシーン
人生の節目や喜ばしい出来事に、花束は欠かせません。華やかなお花は、お祝いのムードを一層盛り上げてくれます。
誕生日
誕生日に花束をもらって嬉しくない人はいないはず。相手の年齢や関係性、好きな色などをヒントに選ぶのがポイントです。例えば、恋人にはロマンチックなバラを、元気な友人にはビタミンカラーのガーベラを、お母さんには優しい色合いのカーネーションやトルコギキョウを、といった具合です。誕生石の色に合わせた花を選ぶのもおしゃれですね。
結婚祝い
新しい門出を迎える二人には、祝福の気持ちを込めて豪華な花束を。結婚式や披露宴に直接持っていく場合は、持ち運びしやすいサイズ感が喜ばれます。また、会場の雰囲気に合わせた色合いを選ぶのも素敵な心遣いです。花嫁が持つブーケと色がかぶらないように、事前に確認できるとさらに良いでしょう。お祝いの電報代わりに、メッセージカードを添えて花束を贈るのも人気のスタイルです。
出産祝い
新しい家族の誕生という大仕事(!)を終えたママへの「お疲れ様」と「おめでとう」の気持ちを込めて。この時に気をつけたいのが、香りと花粉です。産後のママや生まれたばかりの赤ちゃんはデリケートなので、香りが強すぎる花や花粉が多いユリなどは避けた方が無難でしょう。ベビーベッドの近くに置くことも考えて、小ぶりで優しい色合いの花束や、そのまま飾れるアレンジメントがおすすめです。
記念日
結婚記念日や付き合った記念日など、二人にとって特別な日を花束でお祝いするのは、とってもロマンチック。毎年同じ種類の花を贈るのも素敵ですし、「結婚3周年だから3本のバラを」というように、年数にちなんだ本数を贈るのも心に残る演出になります。相手の好きな花や、二人の思い出の花をこっそりリサーチして贈れば、感動もひとしおです。
開店・開業祝い
新しいビジネスのスタートを祝う花束は、お店やオフィスの入り口を華やかに飾ってくれます。縁起の良い花言葉を持つ花や、お店のイメージカラーに合わせた花を選ぶと喜ばれます。たくさんの人からお祝いが届くことも多いので、他のお花に見劣りしないような、少しボリュームのあるものを選ぶと良いかもしれません。すぐに飾れるように、花瓶がなくても大丈夫なアレンジメントも人気があります。
新築・引越し祝い
新しいお家での生活の始まりを、フレッシュな花束でお祝いしましょう。インテリアの邪魔にならないような、ナチュラルな色合いやデザインが好まれます。ただし、お祝い事ではありますが、「火」を連想させる真っ赤な花束は、新築祝いでは気にされる方もいらっしゃるので、避けた方が丁寧な場合もあります。相手の好みを聞いてみるのが一番確実ですね。
昇進・栄転・退職祝い
これまでの頑張りをねぎらい、新しいステージでの活躍を応援する気持ちを込めて花束を贈ります。送別会などで渡す場合は、持ち帰りやすいサイズ感を意識しましょう。お世話になった上司へは、尊敬の気持ちを表す品格のある花を、同僚や後輩へは、感謝と応援の気持ちが伝わる明るい色の花束がおすすめです。退職される方へは、第二の人生のスタートを祝うような、華やかな花束で送り出してあげましょう。
卒業・入学祝い
新たな門出を祝う卒業・入学のシーズンには、希望に満ちた未来を象徴するような、春らしくてフレッシュな花束がぴったり。スイートピーやチューリップ、フリージアなど、この時期ならではの花を選ぶと、季節感もあって素敵です。写真撮影の機会も多いので、写真映えするような明るい色合いの花束が喜ばれます。
感謝を伝えるシーン
「ありがとう」の言葉に花束を添えるだけで、気持ちの伝わり方がぐっと深まります。
母の日・父の日
日頃の感謝を伝える絶好の機会。母の日にはカーネーションが定番ですが、最近ではアジサイやバラ、お母さんの好きな花を贈る人も増えています。父の日には、黄色いバラやひまわりが定番とされていますが、グリーンの多い爽やかなデザインや、観葉植物なども人気です。「いつもありがとう」の気持ちが一番大切なので、相手の好みに合わせて選びましょう。
敬老の日
おじいちゃん、おばあちゃんへ、いつまでも元気でいてほしいという願いを込めて。リンドウや菊など、古くから長寿や健康を象徴するとされる花がよく選ばれます。また、手入れが簡単なアレンジメントや、長く楽しめる鉢植えなども喜ばれます。落ち着いた色合いの中にも、心が和むような優しい色の花をプラスすると良いでしょう。
ちょっとしたお礼
何かをしてもらったり、お世話になったりした時に、大げさすぎない「ありがとう」を伝えたい。そんな時には、一輪挿しでも楽しめるようなお花や、ミニブーケが活躍します。相手に気を使わせない程度のささやかなプレゼントが、かえって心に響くこともあります。
お見舞いやお悔やみのシーン
喜びのシーンだけでなく、相手を気遣う気持ちを伝えたい時にも、花は静かに寄り添ってくれます。ただし、これらのシーンには特有のマナーがあるので注意が必要です。
お見舞い
入院している方へのお見舞いに花束を贈る場合は、いくつか配慮したい点があります。まず、香りが強い花や花粉が多い花は避けましょう。同室の方への迷惑になったり、アレルギーの原因になったりすることがあります。また、鉢植えは「根付く」が「寝付く」を連想させるため、縁起が悪いとされています。シクラメン(死、苦)や菊(葬儀を連想)も避けるのが一般的です。すぐに飾れるアレンジメントが便利ですが、病院によっては生花の持ち込みが禁止されている場合もあるので、事前に確認すると安心です。
お供え・お悔やみ
故人を偲び、遺族に寄り添う気持ちを表すお供えの花。一般的に、四十九日までは白を基調とした花(白上がり)を、それ以降は故人が好きだった色や淡い色合いの花を加えても良いとされています。トゲのあるバラや、香りの強い花は避けるのがマナーです。枕花や後飾り、法事など、用途によって適した花のスタイルが異なるため、お花屋さんに相談するのが最も確実です。何よりも、故人を想う気持ちと、遺族をいたわる気持ちが大切です。
失敗しない!花束選びの基本の「き」
さて、花束を贈るシーンがわかったところで、次はいよいよ「選び方」です。たくさんのお花の中から、どうやって最高の一つを選び出せばいいのでしょうか?いくつかのステップに分けて、基本的な考え方をご紹介します。これさえ押さえれば、お花屋さんで迷うことも少なくなるはずです!
ステップ1:誰に、どんな想いで贈るかを考える
これが最も重要なステップです。花束は、あなたの気持ちを代弁してくれるメッセンジャー。まずは、「誰に」「どんな気持ちを伝えたいのか」をじっくり考えてみましょう。
- 贈る相手のこと:性別、年齢、自分との関係性(恋人、友人、上司など)、相手の雰囲気(元気、おしとやか、クールなど)、好きな色、好きな花、ライフスタイル(忙しい人か、インテリアにこだわる人か)などを思い浮かべます。
- 伝えたい想い:「おめでとう」「ありがとう」「大好き」「お疲れ様」「これからもよろしくね」など、一番伝えたいメッセージは何ですか?その想いを花束のテーマにしてみましょう。
例えば、「明るくていつも元気な女友達の誕生日に、感謝と『これからもよろしく』の気持ちを伝えたい」と考えたとします。そうすると、自然と「ビタミンカラーで、元気が出るような雰囲気の花束」という方向性が見えてきますよね。この最初のイメージ作りが、花束選びの羅針盤になります。
ステップ2:予算を決める
次に考えるのが予算です。花束の価格は、使う花の種類や本数、サイズによって大きく変わります。無理のない範囲で、正直な予算をお花屋さんに伝えることが、満足のいく花束を作るための近道です。「このくらいの予算で、こんな感じにできますか?」と相談すれば、プロが予算内で最大限素敵なものを作ってくれます。一般的な相場については、後の章で詳しく解説しますね。
ステップ3:花の色で選ぶ
花の色は、花束全体の印象を決定づける重要な要素です。色にはそれぞれが持つイメージ(色彩心理)があり、伝えたい想いを色で表現することができます。
- 赤:情熱、愛情、活力。告白やプロポーズなど、強い想いを伝えたい時に。
- ピンク:可愛らしさ、優しさ、感謝。女性への贈り物として、シーンを問わず人気です。
- 黄色・オレンジ:明るさ、元気、幸福。友人へのプレゼントやお見舞い(ただし、お見舞いでは根拠のない俗説を気にする人もいるため注意)にも。父の日のイメージカラーでもあります。
- 青・紫:誠実、尊敬、神秘的。落ち着いた雰囲気で、男性への贈り物や目上の方への贈り物にも適しています。
- 白:純粋、清潔、神聖。結婚祝いや、お悔やみのシーンでも使われます。他の色との組み合わせもしやすい万能カラーです。
- 緑:癒し、安らぎ、自然。ナチュラルな雰囲気が好きな方へ。グリーンを多めに使うと、おしゃれでリラックスした印象になります。
単色でまとめるのも潔くて素敵ですが、複数の色を組み合わせるのも楽しいです。例えば、「ピンク×白」で優しく可愛らしい印象に、「黄色×オレンジ×緑」で元気いっぱいの印象に、といった具合です。
ステップ4:花の種類で選ぶ
相手の好きな花がわかっているなら、それを取り入れるのが一番!もしわからなくても、定番の花が持つイメージや花言葉から選ぶのも一つの方法です。
- バラ:「花の女王」。高級感と華やかさがあり、特別な贈り物にぴったり。
- カーネーション:母の日のイメージが強いですが、フリルのような花びらが可愛らしく、色の種類も豊富で他のシーンでも活躍します。
- ガーベラ:太陽のような形で、ポジティブな印象を与えます。親しみやすく、誰にでも喜ばれやすい花です。
- チューリップ:春の訪れを感じさせる、可愛らしい人気の花。色のバリエーションも豊かです。
- ユリ:大きくて堂々とした花姿が、豪華でエレガントな印象を与えます。香りが強いものが多いです。
- トルコギキョウ:バラのように華やかでありながら、上品で柔らかな雰囲気を持ちます。日持ちが良いのも嬉しいポイント。
季節の花(旬の花)を取り入れるのもおすすめです。旬の花は生命力にあふれていて、価格も比較的手頃なことが多いです。
ステップ5:花のスタイルを決める
花束と一口に言っても、実は大きく分けて2つのスタイルがあります。それぞれの特徴を知って、シーンや相手のライフスタイルに合わせて選びましょう。
- 花束(ブーケ):切り花を束ねて、ラッピングしたスタイル。手渡しする際の「贈り物感」が最も強く、渡した瞬間に華やかさを演出できます。もらった後は、自分で花瓶に生け替える必要があります。
- フラワーアレンジメント:吸水性のスポンジをセットしたカゴや器に花を生けたスタイル。もらった人が花瓶を用意する必要がなく、そのまま飾れるのが最大のメリットです。忙しい方や、ご高齢の方、入院中の方への贈り物に特に喜ばれます。
どちらが良いか迷ったら、「相手は花瓶を持っているかな?」「花を生け替える手間をかけさせてしまわないかな?」と考えてみると、答えが見つかるかもしれません。
知ればもっと楽しい!代表的な花の種類と花言葉
花には、それぞれ「花言葉」があります。花言葉を知っていると、花束にさりげなくメッセージを込めることができて、贈り物がもっと特別なものになりますよ。ここでは、花束でよく使われる代表的な花の種類と、素敵な花言葉をご紹介します。ぜひ、花束選びの参考にしてみてください。
愛や情熱を伝える花
大切な人への愛情をストレートに伝えたい時に選びたい花たちです。
バラ
「愛」と「美」の象徴であり、古くから人々に愛されてきた花の女王。色や本数によって、驚くほどたくさんの意味を持っています。特別な日の贈り物には欠かせない存在です。
- 赤いバラ:「あなたを愛してます」「情熱」「美」
- ピンクのバラ:「しとやか」「上品」「感謝」
- 白いバラ:「純潔」「深い尊敬」「私はあなたにふさわしい」
- 黄色いバラ:「友情」「献身」(一方で「嫉妬」という意味もあるため、贈る相手や状況には少し注意が必要な場合も)
- オレンジのバラ:「絆」「信頼」「すこやか」
- 青いバラ:「夢かなう」「奇跡」「神の祝福」(かつては「不可能」の象徴でしたが、品種改良により意味が変わりました)
また、バラは贈る本数にも意味が込められています。
| 本数 | 意味 |
| 1本 | 「一目ぼれ」「あなたしかいない」 |
| 3本 | 「愛しています」「告白」 |
| 12本 | 「私と付き合ってください」(1本ずつに感謝・誠実・幸福・信頼・希望・愛情・情熱・真実・尊敬・栄光・努力・永遠の意味が込められています) |
| 40本 | 「真実の愛」 |
| 108本 | 「結婚してください」 |
チューリップ
春の代表的な花で、その可愛らしい形と豊富なカラーバリエーションで大人気です。色ごとに素敵な花言葉を持っています。
- 赤いチューリップ:「愛の告白」
- ピンクのチューリップ:「誠実な愛」「愛の芽生え」
- 紫のチューリップ:「不滅の愛」
- 黄色いチューリップ:「望みのない恋」「名声」(こちらも少しネガティブな意味合いを持つことがあるので、明るいイメージを伝えたい場合はオレンジなどが良いかもしれません)
感謝や優しさを伝える花
「ありがとう」の気持ちや、穏やかで優しい気持ちを伝えたい時にぴったりな花たちです。
カーネーション
母の日の象徴として有名ですが、フリルのような花びらが重なり合う姿はとても華やか。日持ちも良く、色の種類も非常に多いので、様々なシーンで活躍します。
- 赤いカーネーション:「母への愛」「真実の愛」
- ピンクのカーネーション:「感謝」「温かい心」
- 白いカーネーション:「純粋な愛」「私の愛情は生きている」(亡き母を偲んで贈る花ともされています)
- 青いカーネーション(ムーンダスト):「永遠の幸福」
カスミソウ
小さな白い花が無数に咲く姿が、まるで霞のよう。他の花を引き立てる名脇役として使われることが多いですが、カスミソウだけの花束も、清楚でロマンチックな魅力があります。花言葉は「感謝」「幸福」「無垢の愛」。どんな花とも相性が良く、花束全体を優しく、そしてボリュームアップさせてくれる万能選手です。
ガーベラ
親しみやすく、元気で明るいイメージのガーベラ。まっすぐに伸びた茎と、パッと開いた花姿が、見ているだけで心を前向きにしてくれます。ポジティブな花言葉が多いのも特徴です。
- ガーベラ全体:「希望」「常に前進」
- ピンクのガーベラ:「感謝」「崇高美」
- 赤いガーベラ:「燃える神秘の愛」
- オレンジのガーベラ:「冒険心」「我慢強さ」
希望や未来を祝う花
卒業や就職など、新しい門出を迎える人へのエールとして贈りたい花たちです。
スイートピー
蝶が飛び立つような愛らしい花姿と、甘い香りが魅力。その花姿から「門出」という花言葉を持ち、卒業や送別のシーンでよく贈られます。「優しい思い出」「私を忘れないで」という花言葉もあります。
ひまわり
夏を代表する花。太陽に向かって咲く姿から、明るくポジティブなイメージがあります。「あなただけを見つめる」「憧れ」「情熱」という花言葉を持ち、元気を与えたい相手や、尊敬する人への贈り物にぴったりです。
フリージア
甘く爽やかな香りが特徴的な春の花。色によって香りが少しずつ違うとも言われています。「あどけなさ」「純潔」「親愛の情」という花言葉を持ち、新しい生活のスタートを応援する気持ちを込めて贈るのに適しています。
季節を彩る花たち
花束に季節感を取り入れると、より一層心のこもった贈り物になります。旬の花は生命力に満ち溢れています。
- 春の花:チューリップ、スイートピー、ラナンキュラス、ミモザ、桜など。柔らかな色合いで、希望に満ちた季節の訪れを感じさせてくれます。
- 夏の花:ひまわり、アジサイ、ユリ、トルコギキョウ、デルフィニウムなど。鮮やかな色や、涼しげな色の花が多く、暑い季節に爽やかさを届けてくれます。
- 秋の花:コスモス、ダリア、リンドウ、ケイトウ、ワレモコウなど。深みのあるこっくりとした色合いの花が多く、落ち着いた大人の雰囲気です。
- 冬の花:クリスマスローズ、ポインセチア、シクラメン、アマリリスなど。寒さの中で凛と咲く姿が美しく、温かみのある色が恋しくなる季節に彩りを添えてくれます。(ポインセチアやシクラメンは鉢植えが主流です)
注意が必要な花言葉を持つ花:ご紹介したように、花によっては少しネガティブな意味を持つものもあります。黄色いバラの「嫉妬」や黄色いチューリップの「望みのない恋」、黄色いカーネーションの「軽蔑」などが代表的です。もちろん、花言葉はあくまで一つの側面にすぎず、相手が黄色が好きなら喜んでくれるはずですが、もし気になる場合は、他の色を選んだり、メッセージカードで気持ちをしっかり伝えたりすると良いでしょう。
花束のスタイルとデザイン、どれにする?
花束は、ただ花を束ねただけではありません。束ね方やラッピングによって、その印象は大きく変わります。ここでは、代表的な花束のスタイルや、デザインを構成する要素について解説します。どんなスタイルが自分の贈りたいイメージに合っているか、考えてみましょう。
花束(ブーケ)の基本スタイル
お花屋さんで「花束をください」と注文すると、一般的にはこれから紹介するいずれかのスタイルで作られることが多いです。
ラウンドブーケ
その名の通り、全体が丸いドーム状になるように作られたスタイルです。どこから見ても花が美しく見えるように組まれているのが特徴。可愛らしく、ロマンチックな印象を与え、どんなシーンにも合わせやすい万能なデザインです。誕生日や記念日、ちょっとしたお祝いなど、幅広く活躍します。
ワンサイドブーケ
「ワンサイド(片面)」の名前の通り、片側から見た時に最も美しく見えるように作られた花束です。背面はグリーンなどでまとめられ、正面にメインとなる花が集められています。そのため、同じ本数の花を使っても、ラウンドブーケよりボリュームがあるように見えます。発表会や送別会などで、ステージ上で手渡すシーンや、記念撮影をする際に、正面がはっきりしているため華やかさが際立ちます。
オーバルブーケ
ラウンドブーケを少し縦に伸ばしたような、楕円形(オーバル)のシルエットが特徴です。ラウンドブーケの可愛らしさに、上品さと優雅さが加わったような印象。ボリューム感もあり、ウェディングブーケとしても人気のあるスタイルです。少しフォーマルな場での贈り物にも適しています。
クラッチブーケ
「クラッチ(clutch)」とは「ぐいっとつかむ」という意味。花の茎の部分を切り揃えただけで、リボンなどでラフに束ねたナチュラルなスタイルです。摘んできた草花をそのまま束ねたような、自然で飾らない雰囲気が魅力。おしゃれな友人へのプレゼントや、ガーデンウェディングなどで人気が高まっています。茎が見えるデザインなので、茎の美しさも楽しめます。
ラッピングも重要な要素
花束の印象を左右する、名脇役がラッピングです。ラッピングペーパーやリボンの色、素材感で、花束の雰囲気はガラリと変わります。
- ラッピングペーパー:シンプルなクラフト紙ならナチュラルでおしゃれな印象に。光沢のあるペーパーや、透け感のある不織布ならエレガントで華やかな印象になります。花の色と合わせたり、あえて反対の色で引き締めたりと、組み合わせは無限大です。
- リボン:リボンの結び方一つでも印象が変わります。サテンリボンは高級感を、オーガンジーのリボンは軽やかさを、ラフィア(ヤシの繊維)のリボンはナチュラル感を演出します。
お花屋さんに「大人っぽく」「可愛らしく」など、最終的なイメージを伝えれば、プロが花にぴったりのラッピングを施してくれます。もし希望があれば、「リボンは青系がいいです」などと伝えてみるのも良いでしょう。
グリーン(葉物)の役割
花束を作るとき、主役の花々の間や周りに添えられるグリーン(葉物)も、実は非常に重要な役割を担っています。
- 花を引き立てる:グリーンの緑色は、どんな色の花とも相性が良く、それぞれの花の色をより鮮やかに見せてくれます。
- ボリュームと動きを出す:花と花の間に空間を作り、花束全体に奥行きとボリューム感を与えます。また、アイビーのように垂れ下がるグリーンを使えば、花束に動きや流れが生まれます。
- デザインの骨格を作る:しっかりとした葉物は、花束全体の形を整え、デザインの土台となる役割も果たします。
代表的なグリーンには、ユーカリ、アイビー、レモンリーフ、ミスカンサスなどがあります。グリーンを効果的に使うことで、花束はより生き生きと、おしゃれな印象になります。「グリーン多めでナチュラルな感じに」といったオーダーも人気です。花だけでなく、素敵なグリーンの使い方も、お花屋さんの腕の見せ所なのです。
気になる予算の考え方と相場
花束を贈りたいと思ったとき、多くの人が気になるのが「いくらくらいかかるの?」という点ですよね。ここでは、花束の価格がどう決まるのか、そしてシーン別の一般的な相場について解説します。あくまで目安ですが、予算を立てる際の参考にしてください。
シーン別・花束の価格相場
贈る目的や相手との関係性によって、花束にかける予算は変わってきます。一般的な価格帯をまとめてみました。
| シーン | 一般的な価格相場 | ポイント |
| 友人への誕生日・ちょっとしたお礼 | 3,000円 ~ 5,000円 | 相手に気を使わせすぎない、程よいボリューム感。ミニブーケや一輪挿しでも楽しめるサイズ。 |
| 恋人・パートナーへの誕生日・記念日 | 5,000円 ~ 15,000円 | 特別な気持ちを伝える、少し豪華な花束。バラなど特別な花を入れたり、本数にこだわったり。 |
| 母の日・父の日・敬老の日 | 3,000円 ~ 7,000円 | 感謝の気持ちが伝わる、華やかさのあるサイズ。アレンジメントも人気。 |
| 送別・退職祝い | 3,000円 ~ 10,000円 | 複数人で贈る場合は、一人あたりの負担額で調整。持ち帰りやすさも考慮。 |
| 発表会・公演祝い | 5,000円 ~ 15,000円 | ステージ映えするような、ボリュームと華やかさがあると喜ばれる。 |
| 開店祝い・結婚祝い | 10,000円 ~ 30,000円 | お祝いの気持ちを表す、見栄えのする豪華なものが選ばれることが多い。アレンジメントが主流。 |
これはあくまで一般的な目安です。大切なのは金額よりも気持ちですが、予算をお花屋さんに伝えることで、その範囲内で最も素敵な提案をしてもらいやすくなります。
価格は何で決まる?
同じように見える花束でも、なぜ価格が違うのでしょうか。花束の価格は、主に以下の要素で決まります。
- 花の種類:バラやコチョウランのように高価な花もあれば、ガーベラやカスミソウのように比較的手頃な花もあります。また、旬の時期を外れた花や、珍しい品種、輸入に頼っている花は高くなる傾向があります。
- 花のグレード:同じ種類の花でも、茎の長さや太さ、花の大きさ、咲き具合などによってランクがあり、価格が変わります。
- 本数・ボリューム:当然ですが、使う花の数が多ければ多いほど価格は上がります。
- デザイン性・技術料:複雑なデザインや、高度な技術を要する花束には、作成料(技術料)が含まれています。
- ラッピング代:ラッピングペーパーやリボンなどの資材費です。
- 時期的な要因:母の日やクリスマス、年度末の送別シーズンなど、需要が高まる時期は全体的に価格が上昇する傾向があります。
予算内で素敵に見せるコツ
「予算は限られているけど、できるだけ見栄えのする花束にしたい!」そんな時に役立つコツをいくつかご紹介します。
- 旬の花を選ぶ:その季節にたくさん出回っている旬の花は、新鮮で生き生きとしており、価格も安定しています。お花屋さんに「今の季節のおすすめは?」と聞いてみるのが一番です。
- ボリュームの出る花を選ぶ:ユリやアジサイ、シャクヤク(季節限定)など、一輪でも存在感のある花をメインにすると、少ない本数でも豪華に見えます。
- グリーンや小花を効果的に使う:カスミソウやスターチスなどの小花や、様々な種類のグリーンを上手に組み合わせることで、花と花の間に空間が生まれ、花束全体がふんわりと大きく見えます。これはプロの技なので、ぜひお花屋さんに相談してみてください。
- ラッピングを工夫する:花のボリュームが少し寂しい場合でも、ラッピングを華やかにすることで、全体の印象をゴージャスにすることができます。
正直に予算を伝えて、「この予算で、できるだけ華やかに見せたいです」と相談するのが、満足への一番の近道です。プロの知識と技術を信頼して、お任せしてみましょう。
お花屋さんでの注文方法と知っておきたいこと
いよいよお花屋さんへ!でも、いざお店に入ると、たくさんの花に圧倒されて何をどう伝えればいいかわからなくなってしまうことも。スムーズに、そして理想の花束を注文するために、知っておきたい準備とコツをお伝えします。
お店に行く前に準備すること
お店で慌てないために、事前にいくつかの情報を整理しておくと、注文がとてもスムーズになります。いわば、花束の「カルテ」を作るイメージです。
- 目的・用途:何のための花束ですか?(誕生日祝い、送別会、お見舞いなど)
- 贈る相手の情報:性別、年代、雰囲気、好きな色など、わかる範囲で。
- 予算:上限はいくらくらいか。
- 希望のイメージ:「明るく元気な感じ」「優しく上品に」「大人っぽくシックに」など、具体的な言葉でなくても大丈夫です。好きな雰囲気の写真などがあれば、見せるとより伝わりやすいです。
- 希望の花や色:もしあれば。「バラを入れてほしい」「ピンク系でまとめてほしい」など。
- 渡す日時と状況:いつ、どこで渡しますか?(持ち歩く時間が長いか、すぐに渡せるかなど)
- その他:メッセージカードは必要か、アレルギーの有無など、気にかかること。
これらの情報をメモしておくだけで、店員さんとの会話が格段に楽になります。
店員さんへの伝え方のコツ
準備ができたら、いざ店員さんへ伝えます。専門知識がなくても全く問題ありません。大切なのは、あなたの「想い」を伝えることです。
- まずは準備した情報を伝える:「友人の30歳の誕生日に贈る花束を探していて、予算は5,000円くらいです。明るくて元気な子なので、黄色やオレンジ系のビタミンカラーで、華やかな感じにお願いします」というように、整理した情報を伝えましょう。
- 「おまかせ」で頼むのもアリ:具体的なイメージが湧かない場合は、「おまかせ」でお願いするのも良い方法です。その際は、「旬の花を使って、30代の女性向けの誕生日プレゼントとして素敵に作ってください」のように、最低限の用途と予算、相手の情報を伝えるのがポイント。プロがその時期一番良い状態の花を選んで、素敵な花束に仕上げてくれます。
- 抽象的なイメージを伝える:「元気が出る感じ」「優しい気持ちになるような」「おしゃれでナチュラルな雰囲気に」といった、抽象的な言葉でも大丈夫。店員さんは、そういったイメージを形にするプロです。恥ずかしがらずに伝えてみましょう。
- これは避けたい、という情報を伝える:「トゲのある花は避けてほしい」「香りが強いものはNG」など、もし避けたい要素があれば、それも忘れずに伝えましょう。
ネット注文のメリット・デメリット
最近では、実店舗だけでなくインターネットでお花を注文する人も増えています。ネット注文には、実店舗とは違うメリット・デメリットがあります。
- メリット:24時間いつでも注文できる手軽さ、たくさんのショップやデザインを比較検討できる選択肢の多さ、指定した場所に直接配送してくれる便利さなどが挙げられます。サプライズで遠方の人に贈りたい場合にも便利です。
- デメリット:実物の花の状態を直接見て選べないのが最大のデメリットです。写真のイメージと実物が多少異なる場合もあります。また、配送中のトラブル(花の傷み、遅延など)のリスクもゼロではありません。
信頼できるレビューの多いショップを選んだり、配送日時や補償について事前にしっかり確認したりすることが、ネット注文で失敗しないためのポイントです。
予約は必要?いつまでに?
ふらっとお店に立ち寄って花束を作ることも可能ですが、できれば予約をおすすめします。
- 予約がおすすめな理由:予約をしておけば、希望の花材を確保してもらえたり、時間をかけて丁寧に作ってもらえたりするメリットがあります。また、当日は待たずに受け取れるのでスムーズです。
- いつまでに予約する?:母の日、クリスマス、年度末(3月)などの繁忙期は、お店が非常に混み合います。1週間前、できればそれ以上前に予約するのが安心です。また、特定の珍しい花や、大量の注文をしたい場合も、早めの相談が必要です。普段の週末などに使う場合でも、2~3日前に連絡しておくと確実でしょう。
スマートに渡したい!花束を贈るときのマナー
素敵な花束が用意できたら、いよいよクライマックス!相手に渡す瞬間です。この瞬間をより思い出深いものにするために、ちょっとしたマナーや心遣いを知っておくと、あなたの印象もぐっとアップしますよ。
持ち運びの注意点
お花はデリケートです。お店から渡す場所まで、できるだけ良い状態で運んであげましょう。
- 持ち運び用の袋:お花屋さんで花束を購入すると、通常は持ち運び用の長いビニール袋や紙袋に入れてくれます。これを使うと、花が傷つくのを防ぎ、持ち運びやすくなります。
- 持ち方:花束は、花の頭を上に、茎を下にして持ちます。逆さにすると、花が傷んだり、水がこぼれたりする原因になります。
- 温度管理:花は急激な温度変化が苦手です。特に夏場の車内など、高温になる場所に長時間放置するのは絶対に避けましょう。冬場も、寒風に直接当てすぎないように気をつけてあげてください。
- 長い時間持ち歩く場合:もし渡すまでに時間がかかる場合は、注文時にその旨を伝えましょう。茎の根元に、保水のためのエコゼリーなどを付けてくれるので、花の鮮度が保たれやすくなります。
渡すタイミング
花束をいつ渡すかは、意外と重要です。シーンによってベストなタイミングを見計らいましょう。
- レストランや食事の席で:最初に会った時に渡してしまうと、相手は食事中、花束の置き場所に困ってしまいます。理想的なのは、食事が終わり、デザートやコーヒーを楽しむリラックスしたタイミングか、お開きの直前です。事前にお店のスタッフに預かってもらい、合図をしたら持ってきてもらうようお願いしておくと、とてもスマートでサプライズ感も演出できます。
- 屋外や駅などで会う場合:待ち合わせをしてすぐに渡すのが一般的です。ただし、その後長時間歩き回る予定がある場合は、相手の荷物になってしまう可能性も。解散間際に渡すか、持ち運びしやすい小さめのブーケにするなどの配慮があると親切です。
- 相手の自宅に招かれた場合:玄関先で挨拶を済ませ、部屋に通されたタイミングで渡すのが良いでしょう。すぐに花瓶に生けてもらえれば、その場が華やぎます。
- 送別会など大勢の場の場合:会の終盤、主役が挨拶をする前後の時間が一般的です。司会者がいる場合は、その進行に従いましょう。
渡すときの向き
花束の渡し方にも、ちょっとしたコツがあります。特に、発表会などで渡すワンサイドブーケの場合は意識してみましょう。
ワンサイドブーケは、正面から見た時に一番美しく見えるように作られています。渡すときは、相手から見て花の正面がしっかり見える向きで差し出しましょう。自分で花の正面を確認しながら、くるっと回して相手に向けるイメージです。こうすることで、受け取った瞬間の感動がより大きくなります。
一言添えるメッセージの大切さ
花束だけでも十分に気持ちは伝わりますが、そこに短い言葉やメッセージカードが添えられていると、喜びは何倍にもなります。
「お誕生日おめでとう!いつも本当にありがとう。」
「新しい職場でも、〇〇さんらしく頑張ってください!応援しています。」
こんな風に、あなたの素直な気持ちを言葉にして伝えましょう。花束を渡すときに直接言うのが照れくさいなら、小さなメッセージカードに書いて花束に添えてもらうのがおすすめです。お花屋さんで素敵なカードを用意していることも多いので、ぜひ活用してみてください。後から読み返せるメッセージは、花が枯れた後も、大切な思い出として心に残り続けます。
もらった花束を1日でも長く楽しむためのお手入れ方法
素敵な花束をもらったら、せっかくなら1日でも長く、その美しさを楽しみたいですよね。ちょっとしたお手入れをするだけで、花の寿命は大きく変わります。贈る側も、この知識を知っていれば「お水、毎日替えてあげてね」なんて、気の利いた一言を添えられますよ。ここでは、誰でも簡単にできる、切り花を長持ちさせるための基本的な方法をご紹介します。
家に帰ったら、まずやること
花束をもらって家に帰ってきたら、なるべく早く以下の3つのステップを行ってあげましょう。これが長持ちの秘訣です。
すぐにラッピングを外す
綺麗なラッピングは名残惜しいですが、花のためにはすぐに外してあげるのがベストです。ラッピングされたままだと、花が蒸れてしまい、傷む原因になります。特に、茎の部分を保水のためにビニールなどで覆っている場合は、雑菌が繁殖しやすくなるので、すぐに解放してあげましょう。リボンや綺麗なペーパーは、記念に取っておくのも良いですね。
花瓶の準備
花を生ける花瓶を準備します。花瓶は食器用洗剤で構わないので、きれいに洗いましょう。汚れた花瓶は、バクテリアが繁殖する原因となり、花の寿命を縮めてしまいます。洗い終わったら、新鮮な水をたっぷり入れます。水の量は、花瓶の半分から7分目くらいが目安です。多すぎると茎が腐りやすくなり、少なすぎると水を吸えなくなってしまいます。
水切り(みずきり)
これが最も重要な作業です。「水切り」とは、水中で茎の先端を切ること。移動中に乾燥してしまった茎の断面を新しくすることで、花の水の吸い上げ(水揚げ)を劇的に良くする効果があります。
- バケツや深めのボウルに水を張ります。
- その水の中に花の茎をつけます。
- 水中で、切れ味の良いハサミやカッターで茎の先端を1~3cmほど、斜めにスパッと切ります。
- 切ったら、すぐに用意しておいた花瓶に生けます。
なぜ水中で切るのかというと、茎を切った瞬間に断面から空気が入り込み、水の通り道(道管)を塞いでしまうのを防ぐためです。また、斜めに切ることで、断面積が広くなり、より効率的に水を吸い上げることができます。
毎日のお手入れ
最初の処置が終わっても、油断は禁物。日々のちょっとしたお世話が、花の美しさを保ちます。
水の交換
花瓶の水は、雑菌が繁殖しやすいため、できれば毎日、新鮮な水に取り替えてあげましょう。特に夏場は水が濁りやすいので、こまめな交換が大切です。水を替える際には、花瓶の内側のぬめりもきれいに洗い流すと、さらに効果的です。
茎の切り戻し
毎日でなくても大丈夫ですが、2~3日に一度、先ほど説明した「水切り」と同じ要領で茎の先端を少しずつ切ってあげる(切り戻し)と、水の吸い上げが良い状態に保たれます。水の交換のついでに行うと習慣にしやすいです。
枯れた花や葉を取り除く
花束の中に、少しずつ元気がなくなってきた花や枯れてしまった葉を見つけたら、かわいそうですが、こまめに取り除いてあげましょう。傷んだ部分をそのままにしておくと、「エチレンガス」が発生し、周りの元気な花まで早く傷ませてしまう原因になります。また、水に浸かってしまう部分の葉も、腐って水を汚す原因になるので、あらかじめ取り除いておきましょう。
長持ちさせるための裏ワザ
基本のお手入れに加えて、こんな工夫も効果的です。
- 延命剤(切り花栄養剤)の活用:お花屋さんで花束を買うと、小さな袋に入った延命剤を付けてくれることがあります。これには、花の栄養となる糖分や、水の腐敗を防ぐ抗菌剤などが含まれており、水に混ぜるだけで花を長持ちさせる効果が期待できます。説明書に書かれた正しい分量で使いましょう。
- 置き場所のポイント:花の置き場所も寿命に大きく影響します。直射日光が当たる場所や、エアコン・暖房の風が直接当たる場所は避けましょう。乾燥が激しく、花がすぐにしおれてしまいます。また、リンゴやバナナなど、熟した果物の近くも避けた方が良いです。これらの果物は、植物の老化を促進するエチレンガスを発生させるためです。
昔から「10円玉を入れると銅イオンの効果で水が腐りにくくなる」「漂白剤を1滴たらすと殺菌効果がある」といった裏ワザも言われていますが、効果は限定的であったり、分量を間違えると逆効果になったりすることもあります。まずは基本のお手入れをしっかり行うことが、一番確実で効果的な方法です。
もっと知りたい!花束に関する豆知識&Q&A
ここまでで、花束の選び方からお手入れ方法まで、かなり詳しくなってきたのではないでしょうか。最後は、よくある質問や、知っているとちょっと面白い豆知識をQ&A形式でご紹介します。これであなたも、花束に関するあらゆる疑問を解決できるはずです!
Q. 花束とブーケ、アレンジメントの違いは?
A. これらはよく混同されがちですが、明確な違いがあります。もう一度おさらいしましょう。
- 花束:切り花を束ね、ラッピングしたものの総称です。比較的、茎が長めに作られていることが多いです。
- ブーケ:フランス語で「花束」を意味する言葉ですが、日本では特に、茎が短く、全体的に丸みを帯びたデザインの花束を指して使われることが多いです。ウェディングブーケなどがその代表例です。
- フラワーアレンジメント:カゴや陶器などの器にセットされた吸水性スポンジに、花を生けたものです。最大の特徴は、もらった後に花瓶に移し替える必要がなく、そのまま飾れる点です。
手渡しする華やかさを重視するなら花束(ブーケ)、相手の手間を省きたいならアレンジメント、と覚えておくと良いでしょう。
Q. 男性に花束を贈るのはアリ?
A. もちろん、大アリです! 花をもらって嬉しいのは、女性だけではありません。男性も、お祝いや感謝の気持ちを込めて花束を贈られれば、とても嬉しいものです。昇進祝いや送別会、父の日、誕生日など、男性に花束を贈るシーンはたくさんあります。
男性へ贈る花束を選ぶ際のポイントは、甘すぎないデザインを意識することです。例えば、
- 色合い:ピンクやフリフリの可愛らしい雰囲気よりは、青、紫、白、グリーンなどを基調とした、爽やかでスタイリッシュな色合いが好まれます。黄色やオレンジなどのビタミンカラーも、元気なイメージで人気です。
- 花材:バラやユリも素敵ですが、カラーやデルフィニウムなど、すっきりとしたラインの美しい花や、グリーンを多めに使ったナチュラルなデザインもおすすめです。
- ラッピング:ブラウンやネイビー、黒など、落ち着いた色のラッピングペーパーを選ぶと、ぐっとシックな印象になります。
「男性だから」と決めつけず、相手の雰囲気や好みを考えて選ぶことが一番大切です。
Q. 花粉や香りが気になる場合は?
A. お見舞いや、アレルギーを持っている方、小さなお子さんやペットがいるご家庭に花を贈る際は、花粉や香りに配慮が必要です。
- 花粉が少ない花:トルコギキョウ、アルストロメリア、カーネーション、デンファレ(ランの仲間)、ガーベラなどは、比較的、花粉が少ない、あるいは飛散しにくい花です。
- 香りが少ない(または、ほとんどない)花:上記の花々に加え、チューリップ、スイートピー(甘い香りはしますが、香りが強くない品種も多い)、ラナンキュラスなどもおすすめです。
- 避けた方が良い花:代表的なのはユリです。ユリは花粉が多く、香りも非常に強い品種が多いため、公共の場や病院などでは特に注意が必要です。もしユリを贈る場合は、お花屋さんで花粉の元である「葯(やく)」をあらかじめ取り除いてもらうようお願いしましょう。
心配な場合は、注文の際に「花粉と香りが少ないものでお願いします」と一言伝えれば、プロが最適な花を選んでくれます。
Q. ドライフラワーやプリザーブドフラワーはどう?
A. 生花以外にも、長く楽しめる花の選択肢として、ドライフラワーやプリザーブドフラワーがあります。それぞれの特徴を知っておきましょう。
- ドライフラワー:生花を乾燥させたものです。くすんだような、アンティーク調の色合いと、素朴でナチュラルな風合いが魅力です。水やりの必要はありませんが、湿気や直射日光に弱く、時間とともに色褪せたり、壊れやすくなったりします。
- プリザーブドフラワー:生花を特殊な液体で加工し、長期間みずみずしい質感を保てるようにしたものです。水やり不要で、数年間は美しい状態を楽しめます。色のバリエーションも豊富ですが、加工しているため生花に比べると価格は高めです。こちらも湿気や直射日光には弱いです。
生花の持つ生命力やフレッシュな香りも魅力的ですが、「思い出を長く形に残したい」「お手入れの手間をかけさせたくない」という場合には、これらの選択肢もとても素敵です。
Q. もらった花束、余ったり一部が元気だったりしたらどうする?
A. 花束全体としては元気がなくなってきても、中にはまだシャキッとしている花が残っていることもありますよね。そんな時は、最後まで楽しむ工夫をしてみましょう。
- 一輪挿しに分ける:まだ元気な花だけを選んで、茎を短く切り、小さなグラスやジャムの空き瓶などに一輪ずつ生けてみましょう。洗面所やキッチン、デスクの上など、ちょっとしたスペースに飾るだけで、空間が明るくなります。
- ドライフラワーに挑戦する:比較的水分の少ない花(バラ、カスミソウ、スターチス、ユーカリなど)は、自宅でも簡単にドライフラワーにすることができます。風通しの良い日陰に、花を下にして吊るしておくだけ。完全に乾燥するまで1~2週間待ちましょう。自分だけのオリジナルドライフラワーで、インテリアを彩るのも楽しいですよ。
いかがでしたか?花束は、贈る側も贈られる側も、幸せな気持ちにしてくれる特別な存在です。この記事が、あなたの「想いを伝える」お手伝いになれば、これほど嬉しいことはありません。さあ、自信を持って、素敵なお花屋さんへ出かけてみましょう!

