毎日、家族みんなが必ず使う場所、それがトイレです。普段何気なく使っているトイレですが、実はその設備にはたくさんの種類や機能があり、どれを選ぶかによって快適さや日々の手間が大きく変わってくるんです。便器や便座はもちろん、手洗い器や収納、換気扇なども含めた「トイレ用設備」全体を考えることで、理想のトイレ空間を実現できます。
「そろそろトイレを新しくしたいな」「でも、何から考えればいいかわからない…」そんな風に思っている方も多いのではないでしょうか。カタログを見ても専門用語が並んでいたり、機能が多すぎてどれが自分に合っているのか判断が難しかったりしますよね。
この記事では、特定の商品をおすすめするのではなく、トイレ用設備に関するあらゆる情報を網羅的に、そしてわかりやすく解説します。トイレの種類やそれぞれのメリット・デメリット、後悔しないための選び方のポイント、さらには長く快適に使い続けるための掃除術やメンテナンスのコツまで、これを読めばトイレ用設備のすべてがわかる、そんな決定版ガイドを目指しました。宣伝は一切ありませんので、純粋な情報として、あなたのトイレ選びの参考にしていただければ幸いです。さあ、一緒に奥深いトイレ用設備の世界を探検しにいきましょう!
トイレ用設備の基本の「き」:種類と特徴を知ろう
まずは、トイレ空間の主役である「便器」と「便座」の種類について、基本的な知識を整理していきましょう。それぞれのタイプの特徴を知ることで、ご自身のライフスタイルやトイレに求めるものが見えてくるはずです。
便器の種類
現在、日本の家庭で主流となっている洋式トイレの便器は、大きく分けて3つのタイプに分類されます。見た目のデザインはもちろん、機能性や価格、設置条件などが異なりますので、それぞれの違いをしっかり理解しておきましょう。
組み合わせ便器
「便器」「便座」「水を貯めるタンク」の3つのパーツがそれぞれ独立しており、それらを組み合わせて設置するタイプのトイレです。昔からある最も標準的なタイプで、多くの方が「トイレ」と聞いて思い浮かべるのがこの形ではないでしょうか。それぞれのパーツを別々に選べるため、例えば「便座だけ最新の温水洗浄便座にしたい」といった希望にも柔軟に対応できます。
メリットとしては、他のタイプに比べて価格が比較的リーズナブルな点が挙げられます。また、万が一どこかが故障してしまった場合でも、その部分だけを交換できる可能性が高いのも嬉しいポイントです。一方で、デメリットとしては、パーツのつなぎ目やタンク周りに凹凸や隙間が多く、ホコリが溜まりやすく掃除がしにくい点が挙げられます。また、タンクがある分、どうしてもスペースを取ってしまうため、トイレ空間が狭い場合には圧迫感を感じるかもしれません。
一体型トイレ
便器と、温水洗浄機能などが付いた便座、そしてタンクが、文字通り一体となってデザインされているトイレです。パーツが一体化しているため、組み合わせ便器のような凹凸や隙間が少なく、つるんとした滑らかなフォルムが特徴です。このシームレスなデザインは、見た目の美しさだけでなく、掃除のしやすさという大きなメリットに繋がります。サッとひと拭きで汚れを落としやすく、日々のメンテナンスが格段に楽になります。
デザイン性に優れ、スッキリとした印象を与えるため、トイレ空間をおしゃれに演出したい方にも人気です。ただし、デメリットも存在します。便座部分(機能部)が故障した場合、便器ごとすべて交換しなければならないケースが多く、修理や交換の費用が高くつく可能性があります。また、組み合わせ便器に比べると、製品自体の価格も高価になる傾向があります。
タンクレス(タンクレストイレ)
水を貯めるためのタンクを持たず、水道管から直接水を供給して洗浄する、非常にコンパクトでスタイリッシュなトイレです。その最大の魅力は、なんといっても省スペース性。タンクがないだけで、トイレ空間が驚くほど広く感じられます。デザイン性も非常に高く、まるで高級ホテルのようなモダンで洗練された空間を演出することができます。
機能面では、タンクに水が貯まるのを待つ必要がないため、連続で水を流せるというメリットもあります。しかし、設置には注意が必要です。水道直結式のため、ある程度の水圧がないと設置することができません。特にマンションの高層階など、水圧が低い可能性があるご家庭では、事前にしっかりと確認する必要があります。また、タンクがないため、タンクの上についているような手洗い器を設置できません。そのため、別途独立した手洗い器を設ける必要が出てきます。停電時には電動で水を流せなくなるため、手動での洗浄方法をあらかじめ確認しておくことも大切です。
便座の種類
便器とセットで考える必要があるのが、直接肌に触れる「便座」です。便座が変わるだけで、トイレの快適性は劇的に変わります。どんな種類があるのか見ていきましょう。
普通便座
暖房や洗浄などの機能が一切ついていない、最もシンプルな便座です。構造が単純な分、価格が非常に安価で、電気も使用しないため経済的です。また、故障する心配がほとんどないという点もメリットと言えるでしょう。一方で、冬場は便座がひんやりと冷たくなるのが最大のデメリット。特に寒さが厳しい地域にお住まいの方や、ヒートショックが心配なご高齢の方がいるご家庭では、少し不便に感じるかもしれません。
暖房便座
便座内部にヒーターが内蔵されており、座面を温める機能がついた便座です。冬の寒い日でも、便座に座った瞬間の「ヒヤッ」とする不快感がなく、快適にトイレを使用することができます。機能は温めることだけとシンプルですが、これがあるだけでトイレタイムの快適度は格段にアップします。もちろん、常に便座を温めているため、電気代がかかるという点は念頭に置いておく必要があります。最近では、使用するときだけ便座を温める節電機能がついたタイプも増えています。
温水洗浄便座
おしりを温水で洗浄する機能を基本とした、多機能な便座です。一般的に「シャワートイレ」や「ウォシュレット」という名称で知られていますが、これらは特定のメーカーの商標です。このタイプの便座には、おしり洗浄のほかにも、女性向けのビデ洗浄、洗浄後に温風で乾かす乾燥機能、気になるニオイを軽減する脱臭機能、人が近づくと自動でフタが開閉する機能、立ち上がると自動で水が流れる自動洗浄機能など、実に様々な機能が搭載されています。衛生面や快適性を重視する方にとっては、今や欠かせない設備と言えるかもしれません。機能が多岐にわたる分、価格帯も幅広く、どの機能が自分にとって本当に必要かを見極めることが大切になります。
後悔しない!トイレ用設備の選び方【7つのポイント】
トイレ用設備の種類と特徴がわかったところで、次はいよいよ「選び方」について考えていきましょう。毎日使う場所だからこそ、設置してから「こんなはずじゃなかった…」と後悔するのは避けたいもの。ここでは、あなたのライフスタイルに最適なトイレを選ぶための7つの重要なポイントをご紹介します。
ポイント1:トイレの広さと間取り
まず最初に確認すべきなのは、トイレを設置する空間の広さと間取りです。どんなに気に入ったデザインや機能のトイレでも、設置スペースがなければ意味がありません。メジャーを用意して、現在のトイレ空間の幅、奥行き、高さを正確に測っておきましょう。特に見落としがちなのが、ドアの開閉スペースです。内開きのドアの場合、便器が大きくなることでドアが開かなくなってしまう、なんていう失敗例も。ドアを開けた状態でのスペースもしっかりと確認することが重要です。
狭い空間を少しでも広く見せたいなら、タンクレスやコンパクトな一体型トイレが選択肢になります。一方で、トイレの外に手洗い場がない間取りの場合は、タンクの上に手洗い器が付いた組み合わせ便器や一体型トイレが便利です。排水管の位置(床排水か壁排水か)によっても設置できる便器の種類が異なる場合があるので、リフォームを検討する際は、この点も業者さんに確認してもらいましょう。
ポイント2:必要な機能を考える
最新のトイレには、驚くほどたくさんの機能が搭載されています。しかし、機能が多ければ多いほど良い、というわけではありません。大切なのは、自分や家族の生活にとって「本当に必要な機能は何か」を見極めることです。
例えば、温水洗浄機能は必須でしょうか?それとも、冬場の冷たさを解消する暖房機能だけで十分でしょうか?小さなお子様がいるご家庭なら、フタの閉め忘れを防ぐ自動開閉機能が便利かもしれません。ご高齢の方がいるなら、立ち上がった後の流し忘れを防ぐ自動洗浄機能が役立つでしょう。また、ニオイに敏感な方なら、強力な脱臭機能は譲れないポイントかもしれません。一方で、使わない機能がたくさんついていても、その分価格は高くなり、故障のリスクも増える可能性があります。自分たちの暮らしを具体的にイメージしながら、機能の優先順位をつけていくことが、満足度の高いトイレ選びに繋がります。
ポイント3:節水性能をチェック
毎日何度も使うトイレだからこそ、見逃せないのが「節水性能」です。実は、トイレは家庭で水を使う設備の中でも、お風呂に次いで多くの水を使用する場所。古いタイプのトイレでは、1回流すのに13リットル以上の水を使っていることも珍しくありません。しかし、現在の節水型トイレは、大洗浄でも4〜6リットル程度、小洗浄なら3リットル台と、昔のトイレの半分以下の水量でしっかり洗浄できるようになっています。
この差は、毎日の積み重ねで考えると、水道料金に大きな影響を与えます。トイレを新しくすることで、年間数千円から一万円以上の水道代を節約できるケースも。製品を選ぶ際には、カタログなどに記載されている洗浄水量を必ずチェックしましょう。また、「大」と「小」のレバーやボタンをきちんと使い分けることも、日々の節水に繋がる大切な習慣です。
ポイント4:掃除のしやすさ
トイレ選びにおいて、快適性と同じくらい、あるいはそれ以上に重要視する人が多いのが「掃除のしやすさ」です。誰もが面倒だと感じるトイレ掃除。その手間を少しでも軽減できるかどうかは、日々の暮らしの質を左右する大きなポイントになります。
近年、各メーカーが最も力を入れているのが、この清掃性の向上です。例えば、便器のフチ裏の凹凸をなくした「フチなし形状」は、汚れが溜まりにくく、サッと拭くだけで掃除が完了するため、今や主流となっています。また、便器と便座の隙間を掃除しやすくするために、便座がボタンひとつで持ち上がる「リフトアップ機能」も非常に便利です。さらに、便器の素材そのものに、汚れがつきにくく、落ちやすくする特殊なコーティングが施されているかもチェックしたいところ。凹凸が少ない一体型トイレやタンクレストイレは、デザイン性だけでなく、掃除のしやすさという点でも大きなメリットがあります。
ポイント5:デザイン性とカラー
トイレは単に用を足すだけの場所ではなく、心を落ち着かせるプライベートな空間でもあります。だからこそ、機能性だけでなく「デザイン性」にもこだわりたいものです。トイレ全体のデザインやカラーが、空間の印象を大きく変えます。
清潔感のある白が定番ですが、最近ではオフホワイト、アイボリー、ピンク、ブラックなど、様々なカラーバリエーションが登場しています。便器の色を、壁紙(クロス)や床材、小物などとコーディネートすることで、統一感のあるおしゃれな空間を演出できます。例えば、落ち着いたダーク系の壁紙に白い便器を合わせればモダンな印象に、柔らかなパステルカラーの壁紙にアイボリーの便器を合わせれば優しい雰囲気になります。タンクレストイレの持つミニマルで洗練されたフォルムは、それだけで空間を格上げしてくれます。自分好みのインテリアテイストに合わせて、トイレのデザインを選ぶ楽しみも大切にしたいですね。
ポイント6:設置条件(水圧など)
デザインや機能が決まったら、自宅の環境に「設置可能かどうか」という現実的な条件を確認する必要があります。特に、タンクレストイレを検討している場合に最も重要なのが「水圧」です。
タンクレストイレは水道管と直結して、水の勢いだけで汚物を洗浄するため、一定以上の水圧が必要となります。水圧が低いと、洗浄不良を起こしたり、そもそも設置ができなかったりします。一般的に、戸建ての2階やマンションの高層階は水圧が低くなる傾向があります。最近では、低い水圧にも対応できる「ブースター(加圧装置)」を内蔵したタンクレストイレも登場していますが、それでも最低限必要な水圧は定められています。素人判断は禁物です。リフォーム業者に依頼して、必ず事前に自宅の水圧を測定してもらいましょう。
ポイント7:将来のことを見据える
トイレは一度設置すると、10年、15年と長く使い続ける設備です。だからこそ、購入時のことだけでなく、「将来のライフスタイルの変化」も見据えて選ぶ視点が大切になります。
例えば、今は若い夫婦二人暮らしでも、将来的に親と同居する可能性はあるでしょうか?自分たちが年を重ねた時のことも考えてみましょう。今は必要なくても、将来的に手すりが必要になるかもしれません。壁に手すりを設置するには、壁の内部に補強用の下地が必要になります。リフォームの際に、あらかじめ下地だけでも入れておけば、後から手すりを付けたいと思った時にスムーズに工事ができます。また、車椅子での利用や介助が必要になる可能性を考えると、トイレの出入り口の幅を広げたり、便器の周りに十分なスペースを確保しておいたりすることも重要です。バリアフリーという観点も、トイレ選びの隠れた重要ポイントなのです。
トイレ空間を快適にする「プラスワン」設備
理想のトイレ空間を作るためには、便器や便座だけでなく、その周りの設備にも目を向けることが大切です。手洗い器や収納、換気扇といった「プラスワン」の設備が、トイレの快適性や利便性を大きく向上させてくれます。ここでは、ぜひ一緒に検討したい周辺設備についてご紹介します。
手洗い器
トイレ内で手を洗える手洗い器は、衛生面からもぜひ設置したい設備です。大きく分けて2つのタイプがあります。
タンク一体型手洗い器
組み合わせ便器や一部の一体型トイレのタンク上部に設置されている手洗い器です。トイレを流した水が、タンクに給水される途中で吐水口から出てくる仕組みになっています。最大のメリットは、独立した手洗い器を設置する必要がないため、スペースを取らないこと。配管工事も不要なので、コストを抑えることができます。しかし、デメリットもあります。タンクの上という高い位置にあるため、小さなお子様や背の低い方、車椅子の方には使いにくい場合があります。また、水がはねやすかったり、石鹸を置くスペースがなかったりすることも。
独立型手洗い器
便器とは別に、壁やカウンターに設置するタイプの手洗い器です。「ベッセル式」と呼ばれるカウンターの上にボウルを置くタイプや、壁に直接取り付けるタイプ、壁に埋め込む省スペースタイプなど、デザインやサイズが非常に豊富です。最大のメリットは、使いやすい高さや場所に自由に設置できること。デザイン性が高いものが多く、トイレ空間のアクセントにもなります。収納付きのカウンターと組み合わせれば、トイレットペーパーや掃除用品などをスッキリとしまうことも可能です。ただし、設置にはある程度のスペースが必要で、給排水のための配管工事が別途発生するため、コストと工期がかかります。
収納設備
トイレットペーパーのストック、掃除用具、サニタリー用品、消臭スプレーなど、トイレの中は意外と物で溢れがちです。十分な収納スペースを確保することで、生活感を隠し、スッキリと整頓された空間を保つことができます。
代表的なものとしては、壁の厚みを利用して設置する「壁埋め込み型収納」があります。出っ張りが少ないので、狭いトイレでも圧迫感なく収納量を増やせます。また、便器の上のデッドスペースを有効活用できる「吊戸棚」も人気です。掃除用品など、あまり人目に触れさせたくないものを隠すのに最適です。その他にも、部屋の角に置けるコーナーラックや、デザイン性の高いキャビネットなど、様々な選択肢があります。「見せる収納」と「隠す収納」をうまく使い分けて、機能的で美しいトイレを目指しましょう。
換気設備
トイレの気になるニオイや、湿気によるカビの発生を防ぐために、換気設備は非常に重要な役割を担っています。建築基準法でも、トイレには換気扇の設置が義務付けられています。換気扇には、壁に直接取り付けて屋外に排気する「プロペラファン」と、ダクトを通して排気する「シロッコファン」があります。マンションなどではシロッコファンが一般的です。
最近では、便利な機能を搭載した換気扇も増えています。例えば、トイレに入ると自動で運転を開始し、退出後しばらくして自動で停止する「人感センサー付き」のものは、消し忘れがなくなり省エネにも繋がります。また、設定した時間だけ運転する「タイマー付き」のものも便利です。ニオイがこもりがちなトイレだからこそ、しっかりと換気ができる設備を選びたいですね。
照明設備
たかが照明と侮ってはいけません。照明の色や明るさ、デザインは、トイレ空間の雰囲気を大きく左右します。清潔感や明るさを重視するなら、太陽光に近い爽やかな色の「昼白色」のライトがおすすめです。一方で、リラックスできる落ち着いた空間にしたいなら、暖かみのあるオレンジ色の「電球色」のライトが良いでしょう。
ここでも人感センサーが活躍します。ドアを開けたり、人が入ったりすると自動で点灯し、人がいなくなると自動で消灯する「人感センサー付き照明」は、夜中にトイレに行く際にスイッチを探す手間が省けて非常に便利です。消し忘れの心配もないため、節電効果も期待できます。ダウンライトですっきりと見せたり、デザイン性の高いブラケットライトでアクセントをつけたりと、内装に合わせて照明計画を立てるのも楽しい作業です。
手すり
現在は必要なくても、将来のために設置を検討しておきたいのが「手すり」です。特に、ご高齢の方や足腰に不安がある方にとって、トイレでの立ち座りの動作は大きな負担になります。手すりがあるだけで、安全性が格段に向上し、自立したトイレ利用をサポートすることができます。
手すりを設置する際は、使う人の身体状況に合わせて、適切な場所と高さを決めることが何よりも重要です。便器の横に設置するL字型の手すりや、立ち座りを補助する縦手すり、便器の前に設置する可動式のはね上げ手すりなど、様々な種類があります。前述の通り、壁にしっかりと手すりを固定するためには、壁の内部に補強下地が必要です。将来手すりを付ける可能性があるなら、トイレリフォームの際に、ぜひ下地工事だけでも行っておくことを強くおすすめします。
知っておきたい!トイレ用設備のメンテナンスと掃除術
お気に入りのトイレ用設備を選んだら、できるだけ長く、そしてキレイな状態で使い続けたいですよね。そのためには、日々のちょっとしたお手入れと、定期的なしっかり掃除が欠かせません。ここでは、トイレを清潔に保つためのメンテナンス方法と、汚れの種類に応じた効果的な掃除術をご紹介します。
日常のお手入れ
美しいトイレを保つ秘訣は、「汚れが定着する前に落とす」ことです。毎日、あるいは2〜3日に一度、ほんの数分でできる簡単なお手入れを習慣にしましょう。トイレ用の掃除シートや、濡らしたマイクロファイバークロスなどで、気になったところをサッと拭くだけで十分です。便座の表裏、便器のフチや外側、ホコリがたまりやすいタンクの上、そして意外と汚れている床や壁などを拭き掃除します。これだけでも、頑固な汚れの発生を大幅に防ぐことができます。「汚れたら掃除する」のではなく、「汚れる前に拭く」という意識が大切です。
定期的な念入り掃除
週に一度くらいは、日常のお手入れでは手が回らない場所を重点的に掃除しましょう。中性洗剤とトイレ用ブラシを使って、便器の内部をしっかりとこすり洗いします。フチなし形状の便器でも、水の出口周辺などは汚れがたまりやすいポイントなので、念入りにチェックしましょう。また、便座と便器の接合部分や、ウォシュレットのノズル周辺など、細かい部分の汚れも忘れずに落とします。洗剤を使う際は、そのトイレの素材(陶器、樹脂など)に使っても問題ないか、必ず確認してから使用してください。間違った洗剤を使うと、変色や傷の原因になることがあります。
汚れの種類別・撃退法
トイレには、様々な種類の汚れが発生します。原因を理解し、それぞれに合った方法で対処することが、効率的な掃除の鍵となります。
黄ばみ・尿石
便器の内側にこびりつく、あの黄色くて硬い汚れの正体は「尿石」です。これは、尿に含まれるカルシウムなどの成分が、水垢と結合して石のように固まったもの。アルカリ性の汚れなので、反対の性質を持つ「酸性」の洗剤が有効です。尿石が気になる部分にトイレットペーパーを貼り付け、その上から酸性洗剤をかけてしばらくパックしておくと、汚れが柔らかくなり落としやすくなります。ただし、酸性洗剤は金属部分を錆びさせたり、塩素系洗剤と混ざると有毒ガスが発生したりする危険があるため、取り扱いには十分な注意が必要です。
黒ずみ
便器の水が溜まっている部分(水たまり)の輪のような黒ずみや、便器のフチ裏などに発生する黒いポツポツ。その主な原因は「カビ」です。トイレは湿度が高くなりやすく、カビにとっては絶好の繁殖場所。このカビには、「塩素系」の漂白剤やカビ取り剤が効果を発揮します。洗剤を吹き付けて、しばらく放置してから水で流すだけで、きれいに落とせる場合が多いです。カビの発生を抑えるためには、日頃からトイレの換気を心がけることが何よりも大切です。
ピンク汚れ
水まわりでよく見かける、ぬめっとしたピンク色の汚れ。これは「ロドトルラ」という酵母菌の一種が原因です。カビと違って人体への害はほとんどありませんが、見た目が良くありませんよね。このピンク汚れは繁殖スピードが速いのが特徴ですが、幸いなことに汚れとしては非常に弱く、中性洗剤とブラシやスポンジでこすれば比較的簡単に落とすことができます。水分がある場所を好むため、こまめに水分を拭き取ることが予防に繋がります。
温水洗浄便座のノズル掃除
温水洗浄便座で、意外と忘れがちなのが「ノズル」のお手入れです。デリケートな部分に直接触れるものだからこそ、常に清潔に保っておきたいですよね。多くの温水洗浄便座には、ボタンを押すとノズルが出てきて自動で洗浄してくれる「ノズル掃除機能」や「セルフクリーニング機能」が搭載されています。まずはこの機能を活用しましょう。それでも落ちない頑固な汚れがある場合は、柔らかい布や使い古しの歯ブラシなどに中性洗剤をつけて、優しくこすり洗いします。力を入れすぎるとノズルを傷つけたり、故障の原因になったりするので注意してください。詳しいお手入れ方法は、必ずお使いの製品の取扱説明書で確認しましょう。
タンク内部の掃除
普段は見えないトイレのタンク内部も、実はカビや水垢で汚れています。タンク内の汚れは、便器の黒ずみの原因になったり、悪臭を発生させたりすることもあります。市販のタンク内専用の洗浄剤を使えば、比較的簡単に掃除をすることができます。錠剤タイプや液体タイプなどがあるので、使いやすいものを選びましょう。自分でフタを開けて掃除をする場合は、タンク内の部品を破損させないように細心の注意が必要です。特に、止水栓を閉めずに作業をすると水が溢れ出てしまう危険があります。自信がない場合は、無理せずプロのクリーニング業者に依頼するのも一つの手です。
トイレ用設備の交換・リフォームを考えるとき
毎日使うトイレも、長年使っていれば経年劣化や故障は避けられません。また、家族構成の変化などによって、今のトイレが使いにくく感じるようになることもあります。ここでは、トイレの交換やリフォームを検討すべきタイミングや、リフォームの流れ、費用感などについて解説します。
交換のサインは?
以下のようなサインが見られたら、トイレの交換を検討する時期かもしれません。
- 水漏れがする:便器やタンクのひび割れ、内部部品の劣化などが原因で水漏れが発生することがあります。パッキンの交換などで直る場合もありますが、本体が原因の場合は交換が必要です。
- 汚れが落ちにくくなった:長年使用していると、便器表面のコーティングが剥がれてきて、汚れがつきやすく、そして落ちにくくなります。掃除をしてもすぐに黄ばみや黒ずみが発生するようになったら、交換のサインかもしれません。
- 節水性能の高いものにしたい:前述の通り、古いトイレは多くの水を使います。最新の節水トイレに交換することで、長期的に見て水道代の節約に繋がります。
- 家族構成が変わった:例えば、子どもが独立して夫婦二人になった、親との同居で介護が必要になったなど、ライフスタイルの変化はトイレリフォームの大きなきっかけになります。手すりの設置やバリアフリー化を検討する良い機会です。
一般的に、トイレ用設備の寿命は10年~15年がひとつの目安と言われています。大きな不具合がなくても、このくらいの年数が経ったら、一度専門業者に見てもらうと良いでしょう。
リフォームの流れ
トイレのリフォームは、一般的に以下のような流れで進みます。
- 情報収集と比較検討:まずはどんなトイレにしたいか、イメージを膨らませます。この記事のような情報サイトや、メーカーのカタログ、ショールームなどを活用して情報を集めましょう。
- 業者選び:リフォームを依頼する会社を探します。地域の工務店やリフォーム専門会社、住宅設備会社など、選択肢は様々です。
- 現地調査と見積もり:業者に自宅に来てもらい、現在のトイレの状況(広さ、排水管の位置、水圧など)を確認してもらいます。その上で、希望するリフォーム内容を伝え、詳細な見積もりを作成してもらいます。
- 契約:見積もりの内容や工事のスケジュール、保証内容などに納得できたら、正式に契約を結びます。
- 工事:契約内容に基づいて、リフォーム工事が行われます。便器の交換だけなら半日〜1日程度で完了することが多いです。
- 引き渡し:工事が完了したら、仕上がりを確認し、新しい設備の使い方の説明などを受け、問題がなければ引き渡しとなります。
業者選びで失敗しないために
リフォームの満足度は、業者選びで決まると言っても過言ではありません。以下のポイントを押さえて、信頼できる業者を選びましょう。
- 相見積もりを取る:必ず複数の業者(できれば3社以上)から見積もりを取り、内容と金額を比較検討しましょう。単に安いだけでなく、工事内容が希望通りか、不明瞭な項目はないかをしっかりチェックすることが重要です。
- 実績や口コミを確認する:その業者が過去にどのようなトイレリフォームを手がけてきたか、施工事例を見せてもらいましょう。また、インターネットなどで利用者の口コミや評判を調べるのも参考になります。
- 保証やアフターサービスの内容をチェックする:工事後の保証期間や、万が一不具合があった場合の対応など、アフターサービスの内容を契約前に必ず確認しておきましょう。
- 担当者との相性も大切:こちらの要望を親身に聞いてくれるか、専門的なことをわかりやすく説明してくれるかなど、担当者とのコミュニケーションがスムーズに取れるかどうかも大切なポイントです。
費用はどれくらいかかる?
トイレリフォームの費用は、選ぶ設備のグレードや工事の規模によって大きく変動します。あくまで一般的な目安として、費用感を知っておきましょう。
- 便器・便座の交換のみ:最もシンプルな工事で、費用は10万円~30万円程度が相場です。選ぶ便器の種類(組み合わせ、一体型、タンクレストイレ)によって価格が変わります。
- 内装(壁紙・床)も含むリフォーム:便器交換と合わせて、壁紙や床材(クッションフロアなど)も一新する場合、20万円~50万円程度が目安となります。空間の印象がガラッと変わるので、満足度の高いリフォームです。
- 和式から洋式への変更:床の解体や給排水管の工事が必要になるため、費用は高くなります。30万円~60万円程度を見込んでおくと良いでしょう。
費用を抑えるポイントとしては、設備のグレードを見直したり、複数の業者から見積もりを取って比較したりすることが挙げられます。また、自治体によっては、バリアフリーリフォームや節水トイレへの交換に対して補助金や助成金制度を設けている場合があります。お住まいの市区町村のホームページなどで確認してみることをおすすめします。
よくある質問 Q&A
ここでは、トイレ用設備に関して多くの方が抱く素朴な疑問について、Q&A形式でお答えしていきます。
Q1. タンクレストイレは停電の時どうするの?
A. 手動で流す方法があります。タンクレストイレは電気を使ってバルブを開閉し水を流すため、停電時にはレバーやボタンが反応しなくなります。しかし、多くの機種には停電時用の手動レバーや紐が、本体のカバーを外した内部や側面に備わっています。これらを操作することで、水を流すことが可能です。また、そういった機能がない場合でも、バケツに汲んだ水を便器に流し込むことで洗浄できます。ただし、その際は水が飛び散らないように、便器ボウルの水面に向かって静かに、しかし一気に流し込むのがコツです。いざという時のために、取扱説明書で停電時の操作方法をあらかじめ確認しておくと安心です。
Q2. 「フチなし」って本当に掃除が楽?
A. 掃除が楽になるという意見が大多数です。従来のフチ裏は、ブラシが届きにくく、見えない部分に汚れが溜まる温床でした。フチなし形状は、この汚れの死角をなくしたことで、サッと拭くだけで掃除が完了するため、清掃性は格段に向上したと言えます。ただし、一部の製品や設置状況によっては、洗浄時の水の勢いで「水はね・尿はねが気になる」という声も聞かれます。フチの形状や水の流れ方はメーカーや製品によって様々なので、ショールームなどで実際の洗浄の様子を確認できると、より納得して選べるかもしれません。
Q3. 賃貸でも温水洗浄便座は付けられる?
A. 大家さんや管理会社の許可があれば可能です。勝手に設置してしまうと、退去時にトラブルになる可能性がありますので、必ず事前に相談しましょう。許可が得られた場合でも、退去時には元の状態に戻す「原状回復」が基本となります。取り外した元の便座は、忘れずに保管しておきましょう。最近では、壁や床を傷つけずに比較的簡単に取り付けられる賃貸住宅向けの温水洗浄便座も販売されています。電源コンセントがトイレ内にあるか、給水管の分岐が可能かどうかも、設置の可否を判断する重要なポイントになります。
Q4. 掃除に使う洗剤、混ぜても大丈夫?
A. 絶対に混ぜてはいけません!特に「塩素系」と「酸性タイプ」は厳禁です。市販のトイレ用洗剤には、カビ取り剤などに使われる「塩素系」と、尿石落としなどに使われる「酸性タイプ」があります。この2種類が混ざると、人体に極めて有害な塩素ガスが発生し、大変危険です。製品のパッケージには必ず「まぜるな危険」という表示がありますので、使用前には必ず確認してください。また、種類の違う洗剤を使う場合は、一度水で完全に洗い流してから、時間を空けて使用するようにしましょう。安全に掃除を行うための最も重要なルールです。
Q5. 節水トイレは詰まりやすいって本当?
A. 現在の製品では、その心配はほとんどありません。節水トイレが登場した当初は、少ない水量で流す技術が未熟で、詰まりやすいという声があったのも事実です。しかし、その後各メーカーが研究を重ね、現在主流となっている節水トイレは、渦を巻くような水流で効率的に洗浄したり、水の勢いを増す工夫がされたりと、少ない水量でもしっかりと汚物を排出できる高い洗浄技術が確立されています。ただし、一度に大量のトイレットペーパーを流したり、お掃除シートなど水に溶けないものを流したりすれば、どんなトイレでも詰まりの原因になります。正しい使い方を心がけることが大切です。
まとめ:自分にぴったりのトイレ設備で、毎日をより快適に
今回は、トイレ用設備について、種類や選び方、メンテナンス方法からリフォームのポイントまで、幅広く解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。一口に「トイレ」と言っても、便器のタイプから始まり、温水洗浄の機能、節水性能、掃除のしやすさ、デザイン性、そして収納や照明といった周辺設備まで、考えるべきことはたくさんあります。
大切なのは、カタログのスペックや価格だけで判断するのではなく、ご自身のライフスタイルや家族構成、そして「トイレという空間でどのように過ごしたいか」を具体的にイメージすることです。掃除の手間を少しでも減らしたいのか、リラックスできるおしゃれな空間にしたいのか、将来のことも考えて安全性を重視するのか。優先順位は、人それぞれ、ご家庭それぞれで違って当然です。
この記事でご紹介した様々な情報が、あなたが理想のトイレ空間を実現するための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。ぜひ、じっくりと時間をかけて、あなたとあなたの家族にとって最高のトイレ用設備を見つけてください。そして、毎日使う場所だからこそ、こだわって選んだトイレで、より快適で心地よい日々をお過ごしください。

