マイホームを建てるとき、あるいはリフォームを考えるとき、間取りやキッチン、壁紙などに目が行きがちですが、実は「床材」選びは、住み心地を大きく左右するとても重要なポイントなんです。毎日足が触れる場所だからこそ、デザイン性はもちろん、機能性やメンテナンスのしやすさまで、しっかり考えて選びたいですよね。
でも、いざ選ぶとなると「フローリングにも種類があるの?」「クッションフロアとフロアタイルの違いって?」「うちの家族構成に合うのはどれだろう?」と、次から次へと疑問が湧いてくるものです。住宅展示場やカタログを見ても、情報が多すぎて何が何だか分からなくなってしまう…なんて経験、ありませんか?
この記事では、そんな床材選びの悩みを解消するために、特定の商品の宣伝は一切なしで、純粋に「お役立ち情報」だけをギュッと詰め込みました。床材の基本的な種類から、ライフスタイルに合わせた選び方のコツ、気になる費用やメンテナンスのことまで、これ一本でまるっと理解できるように構成しています。この記事を読めば、あなたとご家族にとって最適な床材を見つけるための、確かな知識が身につくはずです。さあ、一緒に後悔しない床材選びの旅に出かけましょう!
床材選びの基本!まずは種類を知ろう
床材と一言でいっても、本当にたくさんの種類があります。まずは、それぞれの床材がどんな特徴を持っているのか、基本的な知識をインプットしていきましょう。メリット・デメリットを知ることで、自分たちの暮らしに合うかどうかの判断基準ができますよ。
フローリング
住宅の床材として、最もポピュラーなのが「フローリング」ではないでしょうか。いわゆる「木」の床ですね。このフローリング、実は大きく分けて「無垢フローリング」と「複合(合板)フローリング」の2種類があるんです。同じ木の見た目でも、性質がかなり違うので、しっかり違いを理解しておきましょう。
無垢フローリング
無垢フローリングとは、一本の木から切り出した「本物の木」そのものを加工した床材のことです。天然木ならではの風合いや温かみがあり、根強い人気を誇ります。
メリットとしては、まずその質感と香りが挙げられます。素足で歩いた時の心地よさや、ほのかに香る木の匂いは、無垢材ならではの魅力です。また、木は呼吸するように湿気を吸ったり吐いたりする「調湿作用」を持っています。そのため、梅雨の時期はサラッと、乾燥する冬はしっとりと、室内の湿度を快適に保つ手助けをしてくれると言われています。そして、経年変化を楽しめるのも大きなポイント。年月が経つにつれて色合いが深まり、傷や汚れさえも「味」として家族の歴史を刻んでいってくれます。
一方で、デメリットも理解しておく必要があります。天然の木なので、水や湿気には弱いです。水をこぼしたまま放置すると、シミになったり、木の反りや隙間の原因になったりします。また、柔らかい樹種だと傷がつきやすいのも特徴です。物を落としたり、ペットが爪でひっかいたりすると、すぐに凹みや傷ができてしまうことも。そして、一般的に複合フローリングに比べて価格が高い傾向にあり、定期的なワックスがけなどのメンテナンスが必要になる場合もあります。
使われる樹種によっても、硬さや色合いが大きく異なります。代表的なものには、頑丈で美しい木目が特徴の「オーク(ナラ)」、柔らかく足腰に優しい「パイン(マツ)」、高級感のある深い色合いの「ウォールナット」、爽やかな香りが特徴の「ヒノキ(檜)」などがあります。どの樹種を選ぶかで、部屋の雰囲気もガラリと変わりますよ。
複合(合板)フローリング
複合フローリングは、複数の合板を貼り合わせた基材の表面に、薄くスライスした天然木や、木目などを印刷したシートを貼り付けた床材です。現代の日本の住宅で最も多く採用されているのが、このタイプです。
最大のメリットは、その機能性の高さと安定した品質です。基材が合板なので、無垢材のような反りや収縮が起こりにくく、施工がしやすいのが特徴。表面の加工によって、傷や汚れに強い、ワックスがけが不要、床暖房対応、防音性能があるなど、様々な機能が付加された製品が豊富に揃っています。デザインのバリエーションも非常に多く、木目調だけでなく石目調などもあり、インテリアに合わせて選びやすいのも魅力です。価格も無垢フローリングに比べて比較的安価なものが多く、コストを抑えたい場合には大きなメリットとなります。
デメリットとしては、やはり「本物」の木ではないという点が挙げられます。無垢材のような豊かな香りや、素足で歩いた時の温かみ、調湿作用といったものは期待できません。冬場は足元がひんやりと感じやすいこともあります。また、表面に深い傷がついてしまうと、下地の合板が見えてしまい、補修が難しい場合があります。経年変化で「味」が出るというよりは、経年「劣化」していくという側面が強いかもしれません。
複合フローリングは、表面の化粧材によってさらに種類が分かれます。天然木を2〜3mm程度の厚さでスライスした「挽き板(ひきいた)」、0.3mm程度に薄くスライスした「突き板(つきいた)」、木目などを印刷した樹脂や紙の「シート」などがあります。挽き板は無垢材に近い質感が得られますが価格は高めに、シートは安価で機能性が高いですが質感は劣る、といったように、それぞれに特徴があります。
クッションフロア
クッションフロアは、その名の通り、クッション性に優れた塩化ビニル樹脂製のシート状床材です。CFシートとも呼ばれます。水回りを中心に、幅広く使われています。
最大のメリットは、圧倒的な耐水性です。表面がビニルなので水を全く通さず、飲み物や調味料をこぼしてもサッと拭くだけで綺麗になります。そのため、掃除が非常に楽なのが嬉しいポイント。フローリングのように継ぎ目から水が染み込む心配もありません。また、木目調やタイル調、おしゃれなパターン柄など、デザインのバリエーションが非常に豊富で、インテリアのアクセントとしても楽しめます。材料費や施工費が比較的安価なことも多く、リフォームなどにも手軽に取り入れやすい床材です。適度なクッション性があるため、転んだ時の衝撃を和らげたり、スプーンなどを落としても割れにくかったり、階下への音を多少軽減したりする効果も期待できます。
デメリットとしては、熱に弱い点が挙げられます。熱い鍋などを直接置くと、溶けたり変色したりする可能性があるので注意が必要です。また、重い家具を長時間置いていると、くっきりと跡がついてしまい、元に戻りにくいことがあります。模様替えなどで家具を動かす際には注意が必要です。耐久性の面では、フローリングに比べると劣る傾向があり、長年の使用で表面が摩耗したり、破れたりすることがあります。デザインによっては、少しチープな印象に見えてしまうことがあるかもしれません。
その特性から、特にキッチン、洗面所、トイレといった水回りの床材として絶大な人気を誇ります。
フロアタイル
フロアタイルも、クッションフロアと同じ塩化ビニル樹脂製の床材ですが、シート状ではなく、一枚一枚がタイル状になっているのが特徴です。正方形や長方形など、様々な形のパーツをパズルのように組み合わせて張っていきます。
メリットは、なんといってもそのデザイン性の高さとリアルな質感です。木目調や石目調のデザインが多く、本物のフローリングやタイルと見間違えるほど精巧な製品も少なくありません。表面が硬く作られているため、傷に強く、耐久性にも優れています。土足で歩く店舗などでも使われるほど丈夫なので、キャスター付きの椅子を使ったり、ペットがいたりするご家庭にも向いています。もちろん、ビニル製なので耐水性も高く、メンテナンスも楽ちんです。万が一、傷や汚れがひどくなっても、その部分だけを剥がして新しいタイルに張り替えることができるのも、タイル状ならではの大きなメリットです。
デメリットとしては、クッションフロアに比べると硬いため、衝撃吸収性や防音性は劣ります。足触りも硬く、冬場はひんやりと感じるでしょう。また、タイルとタイルの間に目地(継ぎ目)があるため、そこに汚れが溜まりやすいという点も挙げられます。施工費は、シート状のクッションフロアを一度に張るのに比べて手間がかかるため、やや高くなる傾向があります。
クッションフロアよりも高級感や耐久性を求めたい、という場合に選ばれることが多い床材です。リビングやダイニング、玄関など、様々な場所で活躍します。
カーペット
カーペットは、ウールやナイロンなどの繊維を織り込んだり植え付けたりして作られる、布製の床材です。部屋全体に敷き詰める「ロールカーペット」と、正方形のパネルを組み合わせる「タイルカーペット」があります。
メリットは、その優れた保温性と吸音性です。繊維の間に空気を含むため、冬でも足元が暖かく、断熱効果も期待できます。また、音を吸収する効果が高く、足音や物の落下音などを軽減してくれるため、集合住宅での防音対策にも適しています。そして何より、足触りが柔らかく心地よいのが魅力。転んでも衝撃を吸収してくれるため、小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭でも安心感があります。
一方で、最大のデメリットは掃除の手間です。繊維の奥にホコリや髪の毛、ダニの死骸などが溜まりやすく、アレルギーの原因になることもあります。定期的に念入りな掃除機がけが必要です。また、液体をこぼすとシミになりやすく、一度ついた汚れは落としにくいという弱点もあります。湿気がこもりやすく、カビやダニが発生するリスクもあるため、風通しを良くするなどの工夫が求められます。
素材によっても特徴があり、天然素材の「ウール」は調湿性に優れ汚れにくいですが高価。化学繊維の「ナイロン」は耐久性が高く、「ポリエステル」や「アクリル」は発色が良く安価なものが多い、といった違いがあります。
畳
日本の住宅に古くから伝わる、伝統的な床材が「畳」です。い草を編んで作られた畳表(たたみおもて)が特徴で、独特の香りと質感が魅力です。
メリットは、い草が持つ自然の調湿作用です。無垢フローリングと同様に、室内の湿度を調整し、快適な空間を保つ手助けをします。また、い草の香りにはリラックス効果があると言われています。内部の畳床(たたみどこ)が空気を含むため、適度な弾力性があり、座ったり寝転んだりするのに最適です。音を吸収する効果もあります。
デメリットは、水や汚れに弱いこと。液体をこぼすとすぐに染み込んでしまい、シミになりやすいです。湿気が多いとダニやカビが発生しやすいため、こまめな換気と掃除が欠かせません。重い家具を置くと跡がつきやすく、一度つくと元に戻りません。また、い草は日光(紫外線)によって日焼けし、緑色から黄色へと変色していきます。美しさを保つためには、数年ごとの「裏返し」や「表替え」、10〜20年程度での「新調」といった定期的なメンテナンスが必要になります。
最近では、縁(へり)のない正方形の「琉球畳(りゅうきゅうだたみ)」も人気です。モダンな和室や、リビングの一角に小上がりとして設けるスペースなどによく使われ、カラーバリエーションも豊富です。
その他の床材
これまで紹介してきた主要な床材のほかにも、特徴的な床材がいくつかあります。選択肢として知っておくと、家づくりの幅が広がりますよ。
コルクタイル
コルク樫の樹皮を原料とした床材で、タイル状になっています。非常に弾力性が高く、足腰への負担が少ないのが最大の特徴です。保温性や防音性にも優れており、水も弾きやすい性質を持っています。一方で、柔らかいため傷がつきやすく、紫外線で色褪せしやすいというデメリットもあります。
タイル
磁器や陶器でできた、いわゆる焼き物のタイルです。玄関や水回りでよく見かけますね。耐久性、耐水性、耐火性のすべてにおいて非常に優れており、メンテナンスも楽です。熱伝導率が高いため、床暖房との相性も良いとされています。ただし、素材自体が硬く、冬場は非常に冷たいです。滑りやすいものもあるため、特に水回りでは滑り止め加工が施されたタイプを選ぶと安心です。目地の掃除が少し手間になることもあります。
モルタル・コンクリート
セメントと砂、水を混ぜて作られるモルタルやコンクリートを、そのまま床の仕上げ材として使う方法です。インダストリアルな雰囲気や、モダンでミニマルな空間を演出でき、デザイン性が高いのが魅力。耐久性にも優れています。デメリットは、タイル同様に非常に冷たいこと、そして施工中にひび割れ(クラック)が入る可能性があることです。このひび割れを「味」と捉えるかどうかで評価が分かれます。施工に手間がかかるため、コストも高めになる傾向があります。
Pタイル(コンポジションビニル床タイル)
フロアタイルと似ていますが、塩化ビニル樹脂の含有率が低く、炭酸カルシウムなどの無機質材料が多く含まれる硬質なタイルです。非常に耐久性が高く、土足歩行にも耐えられるため、学校やスーパー、オフィスなどで広く使われています。非常に安価なのも特徴です。ただし、デザインのバリエーションは少なく、住宅で使うには少し無機質で冷たい印象になるかもしれません。
ライフスタイルに合わせた床材の選び方
床材の種類と特徴がわかったところで、次は「じゃあ、うちにはどれがいいの?」という実践編です。床材選びで失敗しないための最も重要なポイントは、「誰が」「どの部屋で」「どのように過ごすか」を具体的にイメージすることです。家族のライフスタイルに寄り添って、最適な床材を見つけていきましょう。
部屋の用途で選ぶ
家の中の部屋は、それぞれ役割が違います。その部屋の用途に合った機能を持つ床材を選ぶのが基本中の基本です。
リビング
リビングは、家族みんなが集まってくつろぐ、家の中心的な空間です。テレビを見たり、おしゃべりしたり、時には子供が走り回ったり。そのため、見た目のデザイン性や心地よさはもちろん、ある程度の耐久性も求められます。
一番人気はやはりフローリングです。木の温かみは、くつろぎの空間にぴったり。お客様を迎える場所でもあるので、少し高級感のある無垢フローリングや、複合フローリングの中でも質感の良い挽き板タイプなどが選ばれることも多いです。小さなお子様がいて傷や汚れが気になるなら、耐久性の高い複合フローリングが良いでしょう。
冬の寒さが気になる、ゴロゴロ寝転がって過ごしたい、というご家庭ならカーペットもおすすめです。温かく、足音も静かになります。最近では、汚れた部分だけ交換できるタイルカーペットをリビングに採用する例も増えています。
ダイニング
ダイニングは、食事をする場所。つまり、食べ物や飲み物をこぼす可能性が非常に高い場所です。うっかりお醤油を垂らしたり、子供がジュースをこぼしたり…。そんな時でも、サッと拭き取れる掃除のしやすさ、耐水性が何よりも重要になります。
この点で優れているのは、複合フローリングやフロアタイル、クッションフロアです。特に表面がコーティングされた複合フローリングは、見た目の良さと機能性を両立できます。フロアタイルも、食べこぼしがちなダイニングテーブルの下にだけ敷く、といった使い方も可能です。無垢フローリングを使いたい場合は、撥水性の高い塗装(ウレタン塗装など)が施されたものを選んだり、こまめにワックスをかけたりするなどの対策を考えると良いでしょう。
キッチン
キッチンは、家の中で最も過酷な環境に床がさらされる場所かもしれません。水はね、油はねは日常茶飯事。調味料や食材を落とすこともあります。そのため、耐水性、防汚性、そして掃除のしやすさが絶対条件になります。
この条件を完璧に満たすのが、クッションフロアとフロアタイルです。どちらも水や油を弾き、汚れても拭き掃除が簡単。特にクッションフロアは、継ぎ目が少ないため汚れが入り込みにくく、価格も手頃なため圧倒的な人気を誇ります。フロアタイルは、クッションフロアよりもデザイン性が高く、耐久性にも優れています。長時間の立ち仕事になる場所なので、足腰への負担を考え、少しクッション性のあるものを選ぶのも良い視点です。
寝室
一日の疲れを癒し、リラックスして眠るための寝室。ここでは、心地よさや足触りの良さを重視したいですね。朝、ベッドから降りた最初の一歩が、冷たくて硬い床だと少しがっかりしませんか?
おすすめは、やはりカーペットです。保温性が高く、冬でもヒヤッとしませんし、ふんわりとした足触りがリラックス効果を高めてくれます。吸音性も高いので、静かな環境を保ちやすいのもメリットです。ホコリが気になる場合は、アレルギー対策が施されたカーペットを選ぶと良いでしょう。
木のぬくもりを感じたいなら、無垢フローリングも素晴らしい選択です。調湿作用で、寝室の空気を快適に保ってくれるかもしれません。素足で歩く気持ちよさは格別です。ベッド周りだけラグを敷く、という組み合わせも人気です。
子供部屋
子供部屋は、子供が成長していくための大切な空間です。おもちゃを落としたり、走り回ったり、床に絵を描いてしまったり…。傷や汚れへの強さ(耐久性)と、転んだ時の安全性を考えた衝撃吸収性、そしてジャンプしたりする音を吸収する防音性が重要になります。
バランスが良いのは、傷に強いタイプの複合フローリングです。掃除もしやすく、丈夫なので安心感があります。もっと安全性を重視するなら、クッションフロアやコルクタイルがおすすめです。どちらも弾力性があるので、転倒時の衝撃を和らげてくれますし、防音性も期待できます。タイルカーペットも良い選択肢です。汚れた部分だけ外して洗ったり、交換したりできるので、元気いっぱいのお子様がいても心強いですね。
洗面所・トイレ
キッチンと並んで、水との関わりが深いのが洗面所とトイレです。特に洗面所は、お風呂上がりに濡れた足で歩くことも多いでしょう。耐水性と掃除のしやすさが必須です。トイレの場合は、それに加えてアンモニアなどへの耐性(耐汚染性)も考慮したいポイント。
ここでもやはり、クッションフロアとフロアタイルが最適解と言えるでしょう。水をこぼしても染み込まず、汚れも簡単に拭き取れます。特にクッションフロアは、便器の形に合わせてカットしやすく、隙間なく敷き詰めることができるため、トイレで非常に重宝されます。デザインも豊富なので、狭い空間でも遊び心のあるインテリアを楽しむことができます。
玄関
玄関は「家の顔」とも言われる場所。お客様が最初に目にする場所なので、デザイン性も大切にしたいですね。同時に、外から帰ってきた靴についた土や砂、雨水などで汚れやすく、傷もつきやすい過酷な場所でもあります。そのため、高い耐久性と掃除のしやすさが求められます。
最も適しているのは、タイル(磁器質タイル)です。非常に硬くて丈夫なので、靴で歩いても傷がつきにくく、泥汚れなども水拭きで簡単に落とせます。高級感もあり、家の第一印象を格上げしてくれます。フロアタイルも、タイルとよく似た感覚で使える人気の選択肢です。本物の石のようなリアルな質感のものもあり、タイルよりもコストを抑えやすいのが魅力。無機質でスタイリッシュな雰囲気がお好みなら、モルタル仕上げもおしゃれです。
家族構成で選ぶ
どんな人たちと暮らしているか、という視点も床材選びには欠かせません。家族みんなが快適で安全に暮らせる床を選びましょう。
小さなお子様がいるご家庭
まだ歩き始めたばかりの赤ちゃんや、元気いっぱいの幼児がいるご家庭では、何よりも「安全性」を第一に考えたいものです。ハイハイしたり、床におもちゃを広げて遊んだり、時には転んでしまうこともあります。
まず考えたいのは滑りにくさです。ツルツルした床は、子供が走り回って転倒する原因になりかねません。そして、万が一転んでしまった時のために、衝撃を吸収してくれるクッション性のある床材が望ましいです。この点で、クッションフロア、コルクタイル、カーペットは非常に優れています。特にコルクタイルは、適度な弾力性が子供の足腰への負担を和らげるとも言われています。
また、食べこぼしや落書きなど、床が汚れる機会も多くなります。掃除がしやすいという点も重要なポイントです。その点では、クッションフロアや、汚れた部分だけ交換できるタイルカーペットが便利ですね。集合住宅の場合は、子供の足音が階下に響かないように、防音性も考慮しましょう。
ペットと暮らすご家庭
大切な家族の一員であるペット。犬や猫が快適に、そして安全に暮らせる床材選びも重要です。人間にとっては快適でも、ペットにとってはそうでない場合もあります。
一番に考えたいのは、ペットの足腰への負担です。ツルツル滑るフローリングは、犬や猫が走ったり止まったりする際に股関節などを痛める原因になることがあります。適度にグリップが効く、滑りにくい床材を選んであげましょう。最近では、ペットの足腰に配慮した、表面が滑りにくく加工されたフローリングやフロアタイル、クッションフロアなどもあります。
次に、傷や汚れへの強さ。爪によるひっかき傷や、粗相による汚れや臭いは避けられない問題です。傷に強く、耐水性・耐アンモニア性に優れ、掃除がしやすい床材が理想です。この点では、フロアタイルやペット対応のクッションフロアが非常に優秀です。カーペットは爪が引っかかりやすく、毛や臭いが染みつきやすいため、あまり向いていないかもしれません。もし採用するなら、ループ状ではなくカットパイルのものを選び、こまめな掃除を心がけましょう。
ご高齢の方がいるご家庭
ご高齢の方が暮らす住まいでは、転倒防止などの「安全性」が最優先事項です。年を重ねると、少しの段差でつまずいたり、筋力が落ちて滑りやすくなったりします。
ここでもやはり、滑りにくさが重要になります。そして、万が一転倒してしまった場合に、骨折などの大怪我につながりにくいよう、衝撃吸収性の高い床材を選ぶことが大切です。その点では、コルクタイルやカーペットが非常に適しています。畳も適度な弾力性があるので安心感があります。
また、冬場のヒートショック対策も重要です。暖かいリビングから冷え切った廊下やトイレに移動した際の急激な温度変化は、体に大きな負担をかけます。床からの冷えを伝えにくい、保温性の高い床材を選ぶことも、健康に配慮した家づくりにつながります。カーペットやコルクタイル、無垢フローリングなどは、複合フローリングやタイルに比べて足元の冷えを感じにくいでしょう。
デザインや機能性から考える床材選び
部屋の用途や家族構成といった実用的な面だけでなく、「どんな部屋にしたいか」というデザインの視点や、「こんな機能があったら嬉しい」というプラスアルファの視点も、満足度の高い床材選びには不可欠です。
インテリアテイストと床材
床は、部屋の中で最も面積の広い部分。壁や天井と並んで、インテリアの印象を決定づける重要な要素です。目指すインテリアテイストに合わせて床材の色や素材を選ぶと、統一感のあるおしゃれな空間になりますよ。
ナチュラルテイスト
木の温もりを活かした、優しく居心地の良いナチュラルテイスト。このスタイルには、やはり明るい色の木材を使ったフローリングが王道です。オークやパイン、メープルといった樹種の無垢フローリングや、それらを模した複合フローリングがぴったり。白やベージュを基調とした空間によく馴染み、明るく開放的な雰囲気を作ってくれます。
モダンテイスト
生活感を抑えた、シャープで都会的なモダンテイスト。直線的なデザインの家具や、無機質な素材と相性が良いです。床材は、ウォールナットやチークといったダークブラウン系のフローリングを選ぶと、空間が引き締まり、高級感が生まれます。また、光沢のある白いフロアタイルや、グレーのモルタル・コンクリートなども、モダンな雰囲気を高めてくれます。
北欧テイスト
シンプルで機能的、かつ自然の温かみも感じられる北欧テイスト。日照時間が短い北欧の国々では、室内を明るく見せる工夫がされています。床材もそれに倣い、白木のような明るい色合いのフローリングが基本です。バーチ(カバ)材や、白く塗装されたパイン材などがよく使われます。近年は、ライトグレー系のフローリングやフロアタイルも人気で、洗練された印象になります。
和風・和モダン
伝統的な和の空間には、もちろん畳が欠かせません。い草の緑と香りが、落ち着いた空間を演出します。現代の住宅に合わせた和モダンなスタイルなら、縁のない琉球畳を市松模様に敷いたり、リビングの一角に小上がりの畳コーナーを設けたりするのも素敵です。フローリングと組み合わせる場合は、竹(バンブー)のフローリングや、色味の濃い木材を選ぶと、和の雰囲気にしっくりと馴染みます。
インダストリアルテイスト
工場や倉庫のような、無骨で飾らない雰囲気が魅力のインダストリアルテイスト。使い古されたような質感のアイテムがキーになります。床材には、コンクリートやモルタルの打ちっぱなしがまさにぴったり。施工が難しい場合は、コンクリート調のフロアタイルでも十分に雰囲気が出せます。また、古材のような風合いのフローリングや、濃い色で木目がはっきりしたフローリングも、アイアン家具などと相性抜群です。
色選びのポイント
床の色は、部屋の広さの感じ方や全体の雰囲気を大きく変える力を持っています。色選びで失敗しないための基本的なポイントを押さえておきましょう。
床の色が与える印象
- 明るい色(ホワイト、ライトベージュ、ナチュラル系):光を反射するため、部屋全体が明るく、広く、開放的に見えます。清潔感があり、どんな色の家具とも合わせやすいのがメリット。ただし、髪の毛やホコリが目立ちやすいという側面もあります。
- 暗い色(ダークブラウン、ブラック系):高級感や重厚感が生まれ、落ち着いたシックな雰囲気になります。空間が引き締まって見える効果があります。白いホコリや傷が目立ちやすいという点は注意が必要です。
- 中間色(ミディアムブラウン、グレー系):温かみがあり、最も落ち着く色合いかもしれません。汚れが目立ちにくく、どんなインテリアにも馴染みやすい万能なカラーです。個性を出しにくいという見方もできます。
壁や建具とのバランス
床の色を選ぶときは、床だけを見て決めるのではなく、壁紙やドア、窓枠といった建具との色のバランスを考えることが非常に重要です。例えば、床と建具の色を合わせると空間に統一感が生まれます。逆に、床を濃い色にして壁や建具を明るい色にすると、メリハリの効いたモダンな印象になります。理想の部屋の写真を参考にしながら、色の組み合わせをシミュレーションしてみましょう。多くのメーカーのウェブサイトでカラーシミュレーションができるので、試してみるのもおすすめです。
知っておきたい機能性
デザインや基本的な性能に加えて、暮らしをより快適にするための「機能性」にも注目してみましょう。特にマンションなどの集合住宅や、特定のニーズがある場合には重要な選択基準となります。
防音性
特にマンションでは、下の階への生活音、特に子供が走り回る音や物を落とした時の「重量床衝撃音」がトラブルの原因になりがちです。床材の防音性能(遮音性能)は、こうした音を軽減するために非常に重要です。
床材の遮音性能は「L値」という等級で示されることが多く、数値が小さいほど性能が高いことを意味します。このL値には「LL(軽量床衝撃音)」と「LH(重量床衝撃音)」がありましたが、現在はより実際の音の聞こえ方に近い「ΔL(デルタエル)等級」という新しい基準が使われています。床材を選ぶ際には、こうした遮音等級もチェックしてみると良いでしょう。管理規約で遮音等級が定められているマンションも多いので、リフォームの際は必ず確認が必要です。
一般的に、カーペットやコルクタイルは防音性に優れています。フローリングの中にも、裏側に特殊なクッション材が貼られた防音フローリングと呼ばれる製品があります。
耐久性・耐傷性
家族が多くて人の出入りが激しいリビング、キャスター付きのオフィスチェアを使う書斎、ペットがいる部屋などでは、床の傷が気になりますよね。そんな場所には、傷に強い性能を持つ床材がおすすめです。
一般的に、フロアタイルやPタイルは非常に傷に強く、土足でも使われるほどの耐久性を誇ります。複合フローリングの中にも、表面に特殊な硬いコーティングを施して、傷や凹みに強くしたタイプがたくさんあります。無垢フローリングの場合は、パインなどの柔らかい針葉樹よりも、オークなどの硬い広葉樹のほうが傷はつきにくい傾向にあります。
耐水性・耐汚性
キッチンや洗面所、トイレといった水回りはもちろん、小さなお子様やペットがいるご家庭では、リビングやダイニングでも耐水性や耐汚性は重要です。飲み物をこぼしたり、ペットが粗相をしたりしても、すぐに染み込まず、簡単に拭き取れる床材は安心感が違います。
この性能で群を抜いているのが、クッションフロア、フロアタイル、タイルです。これらは素材自体が水を通さないため、水回りの床材として最適です。複合フローリングも、表面加工によって高い耐水性・耐汚性を持つ製品が多くあります。
メンテナンス性
共働きで忙しいご家庭など、日々の掃除やお手入れはできるだけ楽に済ませたい、という方も多いのではないでしょうか。メンテナンスのしやすさも、長く快適に暮らすための大切な視点です。
一般的に、表面が滑らかな複合フローリング、クッションフロア、フロアタイルは掃除がしやすく、ワックスがけが不要な「メンテナンスフリー」を謳う製品も多くあります。一方、無垢フローリングは定期的なワックスがけやオイル塗装が必要な場合があったり、カーペットは念入りな掃除機がけが必要だったりと、少し手間がかかる側面があります。この手間を「愛情をかける楽しみ」と捉えるか、「負担」と捉えるかは、人それぞれです。
床暖房対応
足元からじんわりと部屋を暖めてくれる床暖房は、人気の高い設備です。もし床暖房を設置する予定があるなら、必ず「床暖房対応」の床材を選ぶ必要があります。対応していない床材を使ってしまうと、熱による反りや割れ、隙間、変色などの不具合が発生する原因になります。
複合フローリングやフロアタイル、タイル、カーペットなどには、床暖房対応の製品が数多くラインナップされています。無垢フローリングは、熱による伸縮が大きいため、基本的には床暖房に不向きとされてきましたが、最近では乾燥技術の進歩などにより、床暖房に対応した製品も増えてきています。ただし、樹種が限られていたり、施工に特別な注意が必要だったりする場合が多いので、採用する際はメーカーや施工会社によく確認することが重要です。
床材選びのQ&Aと注意点
ここまで床材選びのポイントを解説してきましたが、最後によくある疑問や、つい見落としがちな注意点についてQ&A形式でまとめておきます。後悔しないために、ぜひ最後までチェックしてくださいね。
ショールームやサンプルは活用すべき?
答えは、絶対に「YES」です。むしろ、活用しない手はありません。カタログやインターネットの画面で見る色や質感と、実物とでは、印象が大きく異なることがよくあります。照明の当たり方や、見る角度によっても色味は変わって見えます。
できれば、まずはメーカーのショールームに足を運んで、大きなサイズで床材を確認することをおすすめします。そして、気に入ったものがあれば、必ずサンプルを取り寄せましょう。A4サイズ程度の少し大きめのサンプルをもらい、実際に家を建てる場所やリフォームする部屋の床に置いてみてください。昼間の自然光の下と、夜の照明の下ではどう見えるか。壁紙や建具のサンプルと並べてみて、相性はどうか。実際に素足で踏んでみて、感触を確かめることも大切です。この一手間が、完成後の「こんなはずじゃなかった…」という後悔を防いでくれます。
DIYは可能?
最近はDIYもブームで、「床の張り替えを自分でやってみたい!」と考える方もいるかもしれません。床材の種類によって、DIYの難易度は大きく異なります。
比較的チャレンジしやすいのは、置き敷きタイプのフロアタイルや、両面テープや糊で貼るクッションフロアです。これらはカッターでサイズ調整ができるものも多く、DIY向けの製品も市販されています。ただし、部屋の形が複雑だったり、下地の状態が悪かったりすると、綺麗に仕上げるのはなかなか難しいものです。
一方、接着剤で一枚一枚固定していくタイプのフローリングや、ロールカーペットの施工は、プロの技術が必要です。特に無垢フローリングは、木の伸縮を考慮した「逃げ」を設けるなど、専門的な知識と経験がなければ、後々不具合が出る可能性が高いです。DIYはコストを抑えられるという大きなメリットがありますが、失敗して材料を無駄にしてしまったり、結局プロにやり直しを頼むことになったりするリスクもあります。自分のスキルと、求める仕上がりのレベルをよく考えて判断しましょう。
費用はどれくらいかかる?
床材にかかる費用は、「材料費」と「施工費(工事費)」の2つで構成されます。また、リフォームの場合は、既存の床を剥がす「解体・撤去費」や、下地を平らにする「下地調整費」などが別途かかることもあります。ここでは、一般的な材料費と施工費の目安を種類別に見てみましょう。ただし、これはあくまで大まかな目安であり、製品のグレードや施工業者、地域によって大きく変動します。
| 床材の種類 | 材料費の目安(1平方メートルあたり) | 施工費の目安(1平方メートルあたり) |
| 複合フローリング | 3,000円~15,000円 | 2,000円~5,000円 |
| 無垢フローリング | 6,000円~25,000円 | 4,000円~8,000円 |
| クッションフロア | 2,000円~4,000円 | 1,500円~3,000円 |
| フロアタイル | 3,000円~6,000円 | 2,500円~5,000円 |
| タイルカーペット | 3,500円~8,000円 | 2,000円~4,000円 |
| タイル(磁器質など) | 5,000円~20,000円 | 8,000円~15,000円 |
このように、床材によって価格には大きな幅があります。安いからダメ、高いから良い、というわけではなく、それぞれの特徴と価格のバランスを考えて選ぶことが大切です。複数の業者から見積もりを取り、内訳をしっかり確認することも忘れないようにしましょう。
メンテナンス方法は?
せっかく選んだお気に入りの床材、できるだけ長くきれいに使いたいですよね。床材の種類によって、適したお手入れ方法は異なります。間違った方法で掃除をすると、かえって床を傷めてしまうこともあるので注意が必要です。
フローリング
普段のお手入れは、乾いたフロアワイパーや掃除機でホコリや髪の毛を取り除くのが基本です。汚れが気になる場合は、固く絞った雑巾で水拭きします。びしょ濡れの雑巾は、水分が隙間から染み込み、反りやシミの原因になるので絶対にやめましょう。洗剤を使う場合は、必ずフローリング用のものを使用してください。無垢フローリングの場合は、半年~1年に1回程度、ワックスやオイルでのお手入れをすると、乾燥を防ぎ、美しい状態を保つことができます。
クッションフロア・フロアタイル
こちらも普段は掃除機やフロアワイパーでOKです。水に強いので、固く絞った雑巾での水拭きも気兼ねなくできます。しつこい黒ずみ汚れなどは、水で薄めた中性洗剤をつけた雑巾で拭き、そのあと必ず水拭きと乾拭きで洗剤成分を残さないようにしましょう。ワックス不要の製品が多いですが、もしワックスをかける場合は、ビニル床用のものを選んでください。
カーペット
こまめな掃除機がけが何よりも大切です。毛の根元に溜まったホコリを吸い出すように、毛並みと逆方向にもゆっくりと掃除機をかけましょう。月に1〜2回、固く絞った雑巾で水拭きすると、掃除機では取り切れない汚れも落とせます。ジュースなどをこぼしてシミになった場合は、すぐにティッシュなどで水分を吸い取り、中性洗剤をつけた布で叩くようにして汚れを移し取ります。ゴシゴシこすると汚れが広がるので注意してください。
畳
掃除機をかける際は、畳の目に沿って優しくかけましょう。強くこすると畳表が傷んでしまいます。普段のお手入れは乾拭きが基本です。水拭きは畳の光沢を失わせ、カビの原因にもなるので避けてください。年に1〜2回、天気の良い日に畳を上げて風を通すと、カビやダニの予防になります。それが難しい場合でも、部屋の換気をこまめに行うことが大切です。
まとめ
長い道のりでしたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございます。床材選びの奥深さ、そして楽しさを感じていただけたでしょうか。
たくさんの情報をお伝えしてきましたが、後悔しない床材選びのポイントをシンプルにまとめると、以下の3つの視点から総合的に考えることです。
- 床材の「種類」を理解する:フローリング、クッションフロア、カーペット…。それぞれのメリット・デメリットを把握することが全ての基本です。
- 自分たちの「ライフスタイル」に合わせる:誰が、どの部屋で、どう過ごすのか。家族構成や部屋の用途から、必要な性能を洗い出しましょう。
- 理想の「デザイン・機能」を追求する:どんなインテリアにしたいか、どんな機能があれば暮らしが豊かになるかをイメージしましょう。
床材選びは、家づくりやリフォームの中でも、特に「暮らしそのもの」に直結する重要な選択です。焦って決める必要は全くありません。この記事で得た知識をベースに、ぜひご家族でじっくりと話し合い、ショールームやサンプルで実物を確認しながら、一歩一歩進めていってください。
主役は特定の商品ではなく、あなたとご家族のこれからの「暮らし」です。その暮らしにぴったりと寄り添ってくれる、最高の床材が見つかることを心から願っています!

