私たちの暮らしに欠かせない「電気」。スイッチひとつで明かりが灯り、コンセントにプラグをさせば家電が動く。この当たり前を支えているのが、「電設資材」です。普段は壁の中や天井裏に隠れていて、あまり目にすることはありませんが、電気を安全かつ効率的に使うための、まさに縁の下の力持ちなんです。
この記事では、「電設資材って、そもそも何?」「どんな種類があるの?」「選ぶときに気をつけることって?」といった疑問に、特定の製品をおすすめすることなく、とことんお答えしていきます。電気工事のプロの方はもちろん、ご自宅のDIYやリフォームを考えている方、建物のオーナー様まで、知っておくと役立つ情報をぎゅっと詰め込みました。電設資材の奥深い世界を、一緒に覗いてみませんか?
電設資材の基本の「き」
まずは基本から。電設資材が一体何者で、なぜその知識が重要なのかを、わかりやすく解説します。
そもそも電設資材とは?
電設資材とは、電気設備工事に使われる材料や部品全般を指す言葉です。範囲がとっても広いんですが、ざっくり言うと、発電所から送られてきた電気を、建物の中のコンセントや照明器具まで、安全に届けるための部材すべてが電設資材だと思ってもらえると分かりやすいです。具体的には、電気の通り道になる電線やケーブル、電気の出入り口となるコンセントやスイッチ、電気を安全に分配する分電盤などが含まれます。
もし電設資材がなければ、私たちは電気を安全に使うことができません。電気がむき出しのままでは感電や火災の危険がありますし、必要な場所に電気を届けることもままなりません。地味な存在に見えますが、私たちの現代生活は、高品質で信頼性の高い電設資材によって成り立っていると言っても過言ではないのです。
なぜ電設資材の知識が必要なの?
「電気工事はプロに任せるから、自分は知らなくてもいいや」と思うかもしれません。もちろん、専門的な工事は有資格者でなければできませんが、基本的な知識を持っておくことには、たくさんのメリットがあるんです。
- 安全性の向上:ご家庭のコンセントが焦げていたり、ブレーカーが頻繁に落ちたりすることはありませんか?これは電設資材の劣化や容量不足が原因かもしれません。知識があれば、危険のサインに早く気づき、大きな事故を防ぐことにつながります。
- 適切なリフォーム計画:将来的に部屋を増改築したり、消費電力の大きな家電(IHクッキングヒーターや電気自動車の充電器など)を導入したりする際に、電気設備が対応できるかどうかの判断材料になります。知識がないと、後から大規模な追加工事が必要になってしまうことも。
- コスト意識:電気工事の見積もりを見たときに、内容がちんぷんかんぷんでは、その金額が妥当かどうかも判断できませんよね。資材の種類や役割が分かっていれば、業者さんとの打ち合わせもスムーズに進み、納得のいく工事につながります。
- DIYの幅と限界を知る:コンセントプレートの交換など、DIYでできる範囲の作業もあります。しかし、どこからが資格の必要な危険な作業なのかを知っておくことは、安全のために非常に重要です。
このように、電設資材の知識は、私たちの暮らしの安全と快適さ、そして経済性にも密接に関わっているのです。
電設資材の主な分類
電設資材と一口に言っても、その種類は膨大です。ここでは、代表的なジャンルをいくつかご紹介します。それぞれの詳細については、次の章でじっくり解説しますね。
- 電線・ケーブル類:電気の通り道。建物の血管とも言える重要な部分です。
- 配線器具類:コンセントやスイッチなど、私たちが直接電気を操作する部分です。
- 分電盤・ブレーカー類:電気の司令塔。電気を各部屋に分配し、異常があれば電気を遮断する安全装置です。
- 電線管・付属品類:電線を保護するためのパイプや、それらを接続するための部品です。
- 照明器具関連:LED電球やシーリングライト、ダウンライトなど、明かりそのものと、それを取り付けるための器具類です。
- 弱電関連資材:電話線やLANケーブル、テレビアンテナの部材など、比較的電圧の低い電気を扱う資材です。
これらの資材が適切に組み合わされることで、初めて安全で快適な電気設備が完成します。それでは、それぞれの資材について、もっと詳しく見ていきましょう!
主要な電設資材の種類と役割を深掘り!
ここからは、代表的な電設資材の「種類」と「役割」に焦点を当てて、一歩踏み込んで解説していきます。「この製品が良い」という話ではなく、「こういう種類があって、それぞれこんな役割がある」という視点で読み進めてみてくださいね。
電気の道「電線・ケーブル」
建物内の電気の通り道となるのが電線・ケーブルです。これらがなければ話になりません。見た目は似ていても、中身や用途によって様々な種類があります。
主な役割
電線・ケーブルの役割は至ってシンプル。「電気エネルギーを必要な場所まで送ること」です。発電所から変電所を経て、電柱までは太い送電線が使われ、そこから建物内に引き込まれて、分電盤を通して各部屋のコンセントや照明まで電気を運びます。まるで人体の血管のように、建物内にくまなく張り巡らされています。
代表的な種類と用途
ここでは、一般的な住宅や建物でよく使われる代表的なケーブルをいくつか紹介します。
- VVFケーブル(ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形):おそらく、屋内の配線で最も多く使われているケーブルです。「Fケーブル」とも呼ばれます。灰色の平べったい形状が特徴で、内部に2本または3本の銅線(芯線)が入っています。壁の中や天井裏の配線に広く用いられます。3本芯線のものは、アース(接地)が必要なコンセントなどに使われます。
- IV線(屋内用ビニル絶縁電線):カラフルなビニルで1本ずつ覆われた単線の電線です。そのままでは使えず、電線管の中に通して使用するのが一般的です。分電盤の中の配線など、保護された場所で使われることが多いです。色の違いで、どの線がどの役割かを区別しています(接地線は緑、など)。
- CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル):VVFケーブルよりも高い電圧や電流に耐えられる、黒くて丸い、がっしりとしたケーブルです。絶縁体に架橋ポリエチレンという素材が使われており、熱に強いのが特徴。幹線(分電盤までの太い配線)や、屋外の配線、工場などの動力用配線によく使われます。
芯線の太さ(スケア)と許容電流
電線を選ぶ上で非常に重要なのが、芯線の太さです。これは一般的に「SQ(スケア)」や「mm(ミリメートル)」という単位で表されます。スケアは断面積のことで、この数値が大きいほど電線は太くなります。
なぜ太さが重要かというと、電線には安全に流せる電気の量(許容電流)に上限があるからです。道路に例えると、細い路地に大量の車が流れ込むと渋滞や事故が起きるように、細い電線に大きな電流を流すと、電線が発熱して非常に危険です。最悪の場合、被覆が溶けてショートし、火災の原因になります。
例えば、一般的な家庭用コンセントでよく使われるVVFケーブルは1.6mmや2.0mmのものが多く、それぞれ許容電流が定められています。エアコンや電子レンジなど、消費電力の大きな家電を使う場所には、より太い電線が必要になる、というわけです。この許容電流の計算は、電気工事の基本であり、安全を守るための絶対的なルールなのです。
電気の出口「配線器具」
配線器具は、私たちが日常的に電気を使うために直接触れる、最も身近な電設資材です。スイッチやコンセントがこれにあたります。
主な役割
配線器具の役割は、「電気回路の開閉(ON/OFF)」と「電気機器への電力供給」です。スイッチは照明などの回路を接続したり遮断したりする役割を持ち、コンセントは家電製品のプラグを差し込むことで、電力の供給口としての役割を果たします。
代表的な種類と用途
コンセントやスイッチにも、機能やデザインによってたくさんの種類があります。
- コンセント:一般家庭で最もよく見るのは2口コンセントですが、3口、4口のものや、アース端子付きのもの、抜け止め機能付きのもの、防水仕様の屋外用コンセントなどがあります。最近では、USBポートが一体になったコンセントもあり、スマートフォンなどを直接充電できて便利です。また、テレビアンテナ端子やLANモジュラージャック、電話のモジュラージャックが一体になった「マルチメディアコンセント」も普及しています。
- スイッチ:照明のON/OFFに使うスイッチも様々です。1つの照明を1つのスイッチで操作する最もシンプルな「片切スイッチ」。2か所から1つの照明を操作できる「3路(さんろ)スイッチ」は、階段の上下などによく使われます。さらに3か所以上で操作したい場合は「4路(よんろ)スイッチ」を組み合わせます。他にも、人を感知して自動でON/OFFする人感センサースイッチや、明るさを調節できる調光スイッチ(ほたるスイッチ)、換気扇のタイマー付きスイッチなど、高機能なものもたくさんあります。
- プレート:コンセントやスイッチの周りを覆う化粧板です。プラスチック製のシンプルなものから、金属製や木目調など、インテリアに合わせてデザインを選べるようになっています。ネジが見えないスッキリしたデザインのものも人気があります。
電気の司令塔「分電盤・ブレーカー」
分電盤は、玄関や洗面所などの壁に設置されている、たくさんのスイッチが並んだ箱のことです。普段はあまり開ける機会がないかもしれませんが、家全体の電気を管理する、非常に重要な役割を担っています。
主な役割
分電盤の役割は大きく分けて2つあります。一つは「引き込んだ電気を各部屋の回路に分配すること」。もう一つは「電気の使いすぎや漏電などの異常を検知して、自動的に電気を遮断(トリップ)すること」です。つまり、電気の司令塔であり、安全を守る番人でもあるのです。
ブレーカーの種類と役割
分電盤の中には、いくつかの種類のブレーカーが収められています。
- アンペアブレーカー(サービスブレーカー、契約ブレーカー):分電盤の中で一番大きい、カラフルなスイッチです。電力会社との契約アンペア数(例えば30A、40Aなど)を決めるもので、家全体で契約アンペア以上の電気を同時に使うと、このブレーカーが落ちて家中の電気が止まります。
- 漏電ブレーカー(漏電遮断器):アンペアブレーカーの隣にあることが多い、テストボタンが付いたブレーカーです。漏電、つまり電気が本来のルートから漏れ出しているのを検知すると、感電や火災を防ぐために電気を遮断します。水回りや、洗濯機、エアコンなどの回路で異常があった場合に作動することが多いです。
- 安全ブレーカー(配線用遮断器):小さなスイッチがたくさん並んでいる部分です。各部屋や、エアコンなどの特定のコンセント回路ごとに分かれており、その回路で電気を使いすぎたり、ショートしたりした場合に、該当する回路の電気だけを遮断します。家の一部分だけ電気が消えた場合は、このブレーカーが落ちている可能性が高いです。
分電盤は、単に電気を分けるだけでなく、こうした何重もの安全装置によって、私たちの暮らしを電気の危険から守ってくれているのです。
電線を守る鎧「電線管・付属品」
壁の中や天井裏では、電線はそのまま配線されることもありますが、場所によっては電線を保護するためのパイプ、つまり「電線管」の中を通します。特に、電線が傷ついたり、後から交換したりする可能性がある場所で重要な役割を果たします。
主な役割
電線管の主な役割は、「電線の物理的な保護」です。ネズミなどの害獣から電線を守ったり、コンクリートに埋め込む際に電線が直接コンクリートに触れないようにしたり、人が触れる可能性のある場所で感電を防いだりします。また、もう一つの重要な役割として「電線の交換を容易にすること」が挙げられます。一度配管しておけば、将来的にLANケーブルを追加したり、性能の良い電線に交換したりする際に、壁を壊さずに済む場合があります。
代表的な種類と用途
電線管にも、材質や形状によっていくつかの種類があり、場所によって使い分けられます。
| 種類 | 特徴と主な用途 |
| 硬質塩化ビニル電線管(VE管) | 灰色の硬いプラスチック製のパイプ。加工がしやすく、錆びないため、屋内・屋外問わず幅広く使われます。直線部分の配管に適しています。 |
| 合成樹脂製可とう電線管(PF管・CD管) | 蛇腹状で手で曲げられる、柔軟性のあるパイプ。PF管(自己消火性あり)はベージュ色が多く、屋内・屋外で使用可能。CD管(自己消火性なし)はオレンジ色で、コンクリート埋設専用です。曲がりが多い場所の配管に便利です。 |
| 鋼製電線管(金属管) | スチール製の頑丈なパイプ。衝撃に非常に強く、工場や駐車場など、電線をしっかり保護する必要がある場所で使われます。電磁シールド効果も期待できます。 |
これらの電線管を接続したり、固定したり、ボックス(スイッチやコンセントを取り付ける箱)に繋いだりするために、「カップリング」や「ノーマルベンド」、「サドル」といった様々な付属品が使われます。これらの小物部品も、確実な電気工事を行うためには欠かせない電設資材です。
空間を照らす「照明器具関連」
照明器具も、電気を使って機能する以上、電設資材の大きなカテゴリの一つです。光源そのものから、それを取り付けるための器具までを含みます。
主な役割
言うまでもなく、照明器具の役割は「空間を明るく照らすこと」です。しかし、単に明るくするだけでなく、空間の雰囲気を作り出したり、作業の効率を上げたり、安全を確保したりと、その目的は多岐にわたります。適切な照明計画は、快適な住空間や生産性の高いオフィス環境を作る上で非常に重要です。
照明を選ぶ上での概念
特定の商品ではなく、照明を選ぶ際に知っておきたい「考え方」や「用語」を解説します。
- 光源の種類:現在主流なのはLED(発光ダイオード)です。消費電力が少なく長寿命なのが大きなメリットです。かつて主流だった蛍光灯や白熱電球は、省エネの観点からLEDへの置き換えが進んでいます。
- 器具の種類:天井に直接取り付ける「シーリングライト」、天井に埋め込む「ダウンライト」、特定の場所を照らす「スポットライト」、壁に取り付ける「ブラケットライト」など、用途に応じて様々な形状の器具があります。
- 明るさ(ルーメン / lm):照明器具が発する光の総量を表す単位です。以前は「W(ワット)数」で明るさを判断することが多かったですが、LEDは消費電力(W)が少なくても明るいため、現在ではこのルーメンで比較するのが一般的です。部屋の広さに応じた推奨ルーメン値などがあります。
- 光の色(色温度 / K):光の色合いを表す単位で、ケルビン(K)で示されます。数値が低いほどオレンジがかった暖かい光(電球色)になり、高くなるほど白っぽく、さらに青みがかった涼しげな光(昼光色)になります。リラックスしたいリビングには電球色、作業をする書斎やキッチンには昼白色、といった使い分けがされます。
- 演色性(Ra):その照明の下で見たときの色が、自然光の下で見た色にどれだけ近いかを示す指標です。Ra100が自然光に最も近いとされ、数値が高いほど色が自然に見えます。食事をするダイニングや、メイクをする洗面所など、色の見え方が重要な場所では、演色性の高い照明を選ぶと満足度が高まります。
電設資材を選ぶ上での重要ポイント
実際に電設資材を選ぶ(または工事を依頼する)際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでも、商品の優劣ではなく、安全や法律に関わる普遍的なポイントを解説します。
何よりもまず「安全性」
電気を扱う以上、安全性は何よりも優先されるべきです。安全性を確認するためのポイントをいくつかご紹介します。
PSEマークの重要性
PSEマークは、電気用品安全法に基づいて、国の定める安全基準を満たしている電気製品に表示されるマークです。日本のコンセントに接続して使用するほとんどの電設資材には、このマークの表示が義務付けられています。
- 菱形のPSE:特定電気用品に付けられるマーク。構造上、特に高い安全性が求められる電線、ヒューズ、配線器具などに表示されます。
- 丸形のPSE:特定電気用品以外の電気用品に付けられるマーク。
インターネット通販などで、海外から極端に安価な製品を取り寄せる際には注意が必要です。PSEマークのない製品は、日本の安全基準を満たしていない可能性があり、火災や感電などの重大な事故につながるリスクがあります。国内で電設資材を入手・使用する際は、必ずPSEマークがあることを確認しましょう。
定格(電圧・電流)の確認
すべての電設資材には、定格電圧(V)と定格電流(A)が定められています。これは、その資材が安全に使用できる電圧と電流の上限値を示します。日本の一般家庭の電圧は100Vですが、海外製品の中には200V仕様のものなどもあり、間違って使用すると故障や事故の原因になります。また、先述の通り、使用する電流に対して許容電流が小さい電線や器具を使うことは絶対に避けなければなりません。工事の際は、使用する機器の消費電力から適切な電流値を計算し、余裕を持った資材を選定することが鉄則です。
使用環境に合った資材選び
電設資材は、どこで使われるかによって求められる性能が異なります。
- 屋外や水回り:浴室や洗面所、庭など、水や湿気にさらされる場所では、防水・防湿仕様の器具を選ばなければなりません。コンセントや照明器具には「IPX4」のような保護等級が記載されており、この数値が高いほど防水性能が高いことを示します。普通の屋内用器具を水回りで使うと、漏電や故障の原因となり非常に危険です。
- ホコリの多い場所:工場や倉庫など、粉塵が多い場所では、防塵仕様の器具が必要です。ホコリが器具の内部に入り込むと、接触不良やトラッキング現象(ホコリが湿気を吸って電気の通り道になり発火する現象)による火災のリスクが高まります。
このように、設置場所の環境を正しく評価し、それに適した性能を持つ資材を選ぶことが、長期的な安全につながります。
知っておきたい「規格と法律」
電気工事は、個人の判断で自由に行ってよいものではなく、安全を確保するための様々な法律やルールによって厳しく定められています。ここでは、特に関連の深いものを3つご紹介します。
電気用品安全法(PSE法)
先ほど「PSEマーク」の項でも触れましたが、これは電気用品による危険及び障害の発生の防止を目的とする法律です。製造・輸入事業者は、国の定める技術基準に適合していることを確認し、PSEマークを表示する義務があります。私たち消費者は、このPSEマークがついている製品を選ぶことで、一定の安全性を確保できるというわけです。逆に言えば、マークのない製品の販売や使用は、法律で禁止されています。
電気工事士法
これが、DIYで電気工事を行う際に最も注意すべき法律です。電気工事士法では、電気工事の欠陥による災害の発生を防止するため、特定の電気工事は「電気工事士」の資格を持つ人でなければ行ってはならないと定めています。
資格が不要な「軽微な作業」の例としては、以下のようなものがあります。
- 露出型のコンセントやスイッチのプレートを交換する作業
- 電球や蛍光灯を交換する作業
- プラグの付いたコードを接続する器具(テーブルタップなど)の設置
一方で、資格が必要な作業の代表例は以下の通りです。
- 壁の中の配線をいじる作業(コンセントの増設や移設など)
- 分電盤の取り付けやブレーカーの交換
- 電線を直接、壁や天井の器具に接続する作業
たとえ自分の家であっても、無資格でこれらの工事を行うことは法律違反であり、罰則の対象となります。何よりも、火災や感電といった命に関わる事故のリスクが非常に高いため、専門的な工事は必ず有資格者に依頼してください。
内線規程
これは法律ではありませんが、電気設備を設計・施工する上で、ほとんどの電気工事士が遵守する技術基準書です。電気設備に関する安全確保や、性能維持のための具体的な施工方法などが、非常に細かく定められています。例えば、「この太さの電線には、この容量のブレーカーを組み合わせること」「浴室のこの範囲にはコンセントを設置してはならない」といったルールが網羅されています。
プロの電気工事士は、この内線規程に準拠して工事を行うことで、安全で信頼性の高い電気設備を実現しています。施主として工事内容を確認する際にも、この規程の存在を知っておくと、より深いレベルで安全性をチェックすることができます。
効率性と将来性も忘れずに
安全性や法律の遵守はもちろん大前提ですが、長く快適に暮らすためには、効率性や将来の拡張性も考慮しておきたいポイントです。
- 省エネ性能:初期費用は少し高くても、ランニングコストを抑えられる省エネ性能の高い資材を選ぶ、という視点は大切です。代表的なのは照明器具で、白熱電球や蛍光灯からLEDに交換するだけで、電気代を大きく削減できる可能性があります。
- 将来の拡張性:今は使わなくても、将来的に「ここにコンセントがあったら便利だな」「この部屋にLANケーブルを引きたいな」と思うかもしれません。新築や大規模リフォームの際には、将来を見越して、使わない配管だけを通しておく「空配管(からはいかん)」を仕込んでおいたり、コンセントの数を少し多めに設置しておいたりすると、後々の工事が非常に楽になり、結果的にコストを抑えられることがあります。
電設資材の入手方法と注意点
電設資材は、どこで手に入れることができるのでしょうか。主な購入先と、それぞれの特徴、購入時の注意点を解説します。
どこで買えるの?
- 電材専門店(電材屋):電気工事のプロが利用する専門店です。品揃えが非常に豊富で、専門的な資材も手に入ります。店員さんも専門知識が豊富なため、的確なアドバイスをもらえるのが最大のメリットです。ただし、一般の消費者には入りにくい雰囲気があるかもしれません。
- ホームセンター:DIYコーナーなどで、一般的な電設資材(VVFケーブル、スイッチ、コンセント、電線管など)が販売されています。少量から購入でき、気軽に立ち寄れるのがメリットです。ただし、専門的な資材や、種類・サイズのバリエーションは専門店に劣る場合があります。
- インターネット通販:専門店のオンラインショップや、大手通販サイトなどで購入できます。24時間いつでも注文でき、価格を比較しやすいのが魅力です。しかし、実物を確認できない、送料がかかる、粗悪品や偽物に出会うリスクがゼロではない、といったデメリットも理解しておく必要があります。特に、前述のPSEマークの有無は慎重に確認しましょう。
購入時の注意点
- 必要数量の正確な計算:ケーブルや電線管は、必要な長さを正確に測り、少し余裕を持たせて購入しましょう。途中で足りなくなると、作業が中断してしまいます。
- 規格やサイズの間違い:コンセントやスイッチのプレートには、様々な規格やサイズがあります。交換用に購入する際は、既存のもののサイズや形状をよく確認しないと、「買ったはいいけど取り付けられない」という事態になりかねません。写真を撮っておくと安心です。
- 返品・交換の可否:特に切り売りのケーブルなどは、一度カットしてしまうと返品できない場合がほとんどです。購入前に、お店の返品・交換ポリシーを確認しておきましょう。
DIYとプロの領域 – 安全な電気工事のために
最後に、繰り返しになりますが、電気工事におけるDIYとプロの作業範囲について、改めて強調しておきたいと思います。
DIYでできること、できないことの明確な線引き
電気工事士法で定められている通り、私たちが資格なしで行えるのは「軽微な作業」に限られます。コンセントプレートや電球の交換は、正しい手順を学べばDIYでも可能です。しかし、壁の中の配線を触る、分電盤を操作する、といった作業は、絶対に手を出してはいけません。
「動画サイトで見たからできそう」「簡単そうに見える」といった安易な判断は禁物です。動画では見えない部分に、専門家ならではの知識や技術が隠されています。どこまでが安全で、どこからが危険な領域なのかを正しく理解することが、DIYを楽しむための第一歩です。
危険なDIYが招く、取り返しのつかないリスク
無資格での電気工事や、不適切な資材の使用がもたらすリスクは、計り知れません。
- 火災:配線の接続不良や、容量オーバーによる発熱は、住宅火災の主要な原因の一つです。一度火災が発生すれば、財産だけでなく、家族や隣人の命まで危険にさらすことになります。
- 感電:作業中の感電はもちろん、施工不良によって壁や家電製品が漏電し、後から家族が感電する事故も考えられます。感電は、死に至る可能性のある非常に危険な事故です。
- 機器の故障:誤った配線は、接続した高価な家電製品を一瞬で壊してしまうこともあります。
迷ったらプロに相談!それが一番の安全策
少しでも「これは自分でやっても大丈夫かな?」と不安に思ったら、迷わずプロの電気工事店に相談してください。専門家は、安全基準や法律を遵守し、確実な施工を行ってくれます。また、長期的な視点でのアドバイスや、最適な資材の選定もしてくれます。工事費用はかかりますが、それは「安全と安心を手に入れるためのコスト」です。目先の費用を惜しんだ結果、取り返しのつかない事態を招いてしまっては、元も子もありません。
まとめ
今回は、私たちの生活の裏側で活躍する「電設資材」について、その基礎知識から種類、選び方のポイント、そして法律や安全性まで、幅広く解説してきました。特定の商品の紹介は一切ありませんでしたが、いかがでしたでしょうか。
電設資材の一つ一つは地味な存在かもしれませんが、それらが正しく選ばれ、適切に施工されることで、私たちの安全で快適な電気のある暮らしが成り立っています。この記事を通して、普段何気なく使っている電気の裏側にある、縁の下の力持ちたちの世界に、少しでも興味を持っていただけたなら幸いです。
ご家庭の電気設備に疑問や不安を感じたときは、この記事で得た知識をきっかけに、ぜひ専門家である電気工事士さんに相談してみてください。何よりも安全第一で、電気と上手に付き合っていきましょう!

